イーサリアム(ETH)は月曜に3000ドルを割り込み、8月の史上最高値4956ドルから40%の調整が進んだ。これを受け、強気相場が終わったのではないかとの警戒感が広がり、セクター全体でリスクオフのムードが強まった。
イーサリアムの値動きはアルトコイン市場とほぼ連動しており、個別の材料不足、もしくは投資家がより広いマクロ要因へ関心を移していることを示している。
もしイーサリアムが明確な競争圧力や基礎的要因の悪化に直面しているのであれば、ETHはアルトコインに劣後するはずだが、現時点ではその兆候はみられない。
アナリストらは、今回の仮想通貨市場の下落は世界的な景気不安が高まっていることが背景にあると指摘する。米国では政府閉鎖、新たな輸入関税、消費関連企業の弱い決算、そして人工知能(AI)業界をめぐる不透明感が続いた。データセンターは依然として高収益を維持しているものの、コスト上昇やエネルギー制約が重くのしかかっている。
強気レバレッジ需要は1か月にわたり低迷し、ETH先物プレミアムは中立ラインである5%を下回ったままだ。
市場ストレスはイーサリアムの保有を積み増してきた企業にも影響しており、ビットマイン(BMNR US)、シャープリンク・ゲーミング(SBET US)、イーサマシン(ETHM US)といった企業は、債務や株式発行で調達した資金をETHに振り向けているが、株価が仮想通貨を含む純資産価値を下回ることで含み損を抱えている。強制売却が迫っているわけではないが、投資家の関心は薄れ、新規の資金調達需要は落ち込み、既存株式の希薄化が徐々に進んでいる。
オンチェーン指標の低下が強気意欲を弱める
イーサリアムのオンチェーンデータの弱さも、投資家の強気センチメントを後退させた。ネットワーク活動の低迷はETH需要を減らし、供給を増やす。イーサリアムのバーン(焼却)メカニズムはベースレイヤーのデータ需要が増えたときに初めて意味を持つため、DApps利用の低迷はETHステーキングにとってもマイナス材料となる。
イーサリアムの総ロック価値(TVL)は4か月ぶりの低水準である740億ドルまで低下し、30日前から13%減少した。イーサリアムの分散型取引所(DEX)の取引高は過去7日間で174億ドルとなり、前月比で27%減となった。TVLでは依然として他チェーンを大きく引き離しているものの、取引高では競争が激化している。
BNBチェーンやソラナは中央集権的だとの批判もあるが、レイヤー2を含めればイーサリアムが依然優位に立つとの見方も根強い。ベース、アービトラム、ポリゴンといったスケーリングソリューションはイーサリアムの処理能力を大幅に高めた一方、ベースレイヤーの手数料低下につながり、逆に手数料収入への懸念も生じている。ロールアップはトランザクションをレイヤー1の外で処理するため、ベースレイヤー費用の需要を大きく減少させる。
それでも、活動のレイヤー2への移行は脅威というより強化要因といえる。イーサリアムのスケーリングエコシステムの台頭は、現実世界資産(RWA)トークン化や、スカイ(旧MakerDAO)のような分散型ステーブルコインシステムにおける優位性を高めた。ベースだけで過去7日間に1億20万件近いトランザクションを処理しており、ユーザーや預かり資産の規模がさらに大きいソラナと比較しても遜色ない水準だ。
イーサリアムの今後は、特に米国が拡大する政府債務の重圧に直面するなか、世界的な政治・経済の不確実性が後退するかどうかに大きく左右される。最終的には各国中央銀行が流動性供給を迫られる可能性が高く、ETHはその資金流入の恩恵を受けやすいとみられている。その流れが現実化すれば、イーサリアムが再び3900ドルを試す展開も視野に入る。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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