4大会計事務所のひとつ、アーンスト・アンド・ヤング(EY)が、現在閉鎖しているカナダの仮想通貨取引所クアドリガCXについて、進行中の債権者保護手続きの一環として再編ではなく、破産とするべきと主張した。EYがカナダのノバ・スコシア州最高裁判所に4月1日に提出した「第4次報告書」の行動指針で提案した。

既報の通り、EYは、2018年12月にクアドリガ創業者ゲリー・コットン氏が死亡して以降、顧客の資金が入ったコールドウォレットにアクセスできない状態だと報告した。

クアドリガの資産の大部分を占めるアクセス不可能な仮想通貨資産には、推定11万5000人の顧客の1億9840万ドル(約221億2500万円)分の資産が含まれている。同取引所は2019年2月上旬に債権者保護を裁判所に申請し、債権者保護手続きをモニターする独立した第三者としてEYが任命された

第4次報告書において、EY法務チームは、企業の債権者整理法(CCAA)に基づくクアドリガの再編プロセスを、破産・倒産法(BIA)に基づいた代替プロセスに移行させるべきと主張した。

第4次報告書によると、BIAに基づく訴訟に移行するメリットには、倒産により「クアドリガのプラットフォームに限定されない資産の売却が可能になる」と同時に、管理負担の合理化と手続きコストの削減が含まれるという。

さらに第4次報告書では、BIA移行により、破産手続き上の役割においてEYの「強力な調査能力」を提供できると主張した。また、再建担当役員およびその必要性を排除することで、ガバナンスの問題にも対応できるとした。

BIAの訴訟手続きでは、顧客に直接報告を行え、現在CCAAで要求されているような、裁判所に対する正式な情報更新の負担を取り除けるようになるという。

このほか第4次報告書では、クアドリガの代理として法定通貨を保有している複数の支払い処理業者についての調査も説明した。

またEYは、「企業としてのクアドリガと、私人としての創業者コットン氏との間で、厳格な公私の切り分けがなされていない」という懸念から、配偶者および不動産を含むすべての資産保全を要求した。


翻訳・編集 コインテレグラフ日本版
原文 Ernst & Young Argues That Crypto Exchange QuadrigaCX Should Be Placed in Bankruptcy