国際通貨基金(IMF)は7月15日、エルサルバドルとの融資契約に関する最新報告書を公表し、2024年12月に契約を締結して以降、同国政府が新たなビットコイン(BTC)を購入していないと指摘した。
報告書によれば、エルサルバドルの政府系ビットコインウォレット「チボ(Chivo)」は、利用者のBTC預入額の変動に応じて同国のビットコイン保有残高を調整していないという。チボはBTCを売却することもないため、「軽微な不整合」が生じており、それがあたかもエルサルバドル政府がビットコインを蓄積しているかのような印象を与えていたと説明されている。
IMF報告書には、エルサルバドル中央銀行のダグラス・パブロ・ロドリゲス・フエンテス総裁とヘルソン・ロヘリオ・ポサダ・モリーナ財務大臣が署名した意向表明書が添付されており、次のように記されている。
「プログラムに基づく合意に従い、公共部門が保有するビットコインの残高は変更されておらず、チボウォレットにおける公共部門の関与を縮小し、ビットコイン・プロジェクトを再定義することで財政リスクの軽減を図っている」
コインテレグラフは、エルサルバドルのビットコイン局および国家デジタル資産委員会にコメントを求めたが、記事執筆時点では回答は得られていない。
IMFとの14億ドル融資契約とBTC政策の見直し
エルサルバドル政府は2024年12月、IMFとの間で14億ドル規模の融資契約を締結し、その条件としてビットコインへの関与を縮小することに合意していた。
2025年1月には、エルサルバドル議会がビットコイン法を改正し、BTCの法定通貨としての受け入れを任意とする一方、国費によるビットコインの買い増しも停止することを決めた。
しかしながら、エルサルバドルのビットコイン局はその後も政府がビットコインを着実に積み立てていると主張し、IMFとの合意内容とは相反する姿勢を取り続けていた。
事態が動いたのは2025年3月で、IMFが改めてエルサルバドルに対し、融資条件に従ってビットコインの蓄積を停止するよう通達を出した。
これに対し、エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は強硬な態度を崩さず、国としてビットコインを日々買い増し続ける方針を明言した。
「止めない。我々が世界中から孤立し、ほとんどの“ビットコイナー”が我々を見捨てた時でさえ止めなかったのだから、今さら止めるはずがないし、これからも止まらない」とブケレ氏は3月4日のXへの投稿で述べている。
今回のIMF報告書は、ビットコインの国家戦略的備蓄を率先して進めてきたエルサルバドルと、供給上限のあるデジタル通貨にこだわるブケレ氏の姿勢に注目してきたビットコインコミュニティに大きな波紋を呼んでいる。
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