著者 Hisashi Oki dYdX Foundation Japan Lead
早大卒業後、欧州の大学院で政治哲学と経済哲学を学ぶ。その後、キー局のニューヨーク支局に報道ディレクターとして勤務し、2016年の大統領選ではラストベルト・中間層の没落・NAFTAなどをテーマに特集企画を世に送り込んだ。その後日本に帰国し、大手仮想通貨メディアの編集長を務めた。2020年12月に米国の大手仮想通貨取引所の日本法人の広報責任者に就任。2022年6月より現職。
「バリデーターの投票先がコミュニティの意思と合致していない」- Zaki Manian's X (Twitter)
上記は、Cosmos Hubの先日出された提案 #848 「ATOMのインフレーション率を最大14%から最大10%に削減する」について、Cosmosエコシステムの有力者の一人であるZakiがコメントしたものだ。一体どういうことなのか?
(Mintscan 11月12日時点の投票速報)
今回の提案は、最大インフレ率の10%への削減だ。ATOMは歴史的に高インフレが続いており、ATOMの価格に対しても悪影響が出ているという議論が昔から出ている。Blockworks Researchによると、現在ATOMはステーカーとバリデーター(すなわちセキュリティ)に対して「支払い過ぎ」の状態であり、仮にインフレ率の上限を10%にしたとしても、Cosmos Hubの180バリデーターのほぼ全てがコミッション収入だけでブレークイーブンか黒字に持っていけるという。
Cosmos系のネットワークのセキュリティを支えているのはブロック提案と承認を実施するバリデーターであり、バリデーターにATOM保有者がステーキングをすることでセキュリティは高まる仕組みだ。
インフレ上限10%への変更によって、ステーキングのAPRが最大19%から13.4%に下がると予測される。この提案に対する投票は11月11日に開始。11月25日に終了する。
また、ATOMのインフレ率の削減によってCosmos系のDeFiプロトコルの普及が促されるという見方もある。最も流動性が高い資産であるATOMが担保として使われるポジションであるものの、高いインフレ率が続けば、DeFiのイールド面で他のDeFiに勝てなくなるからだ。