著者 Hisashi Oki dYdX Foundation Japan Lead

早大卒業後、欧州の大学院で政治哲学と経済哲学を学ぶ。その後、キー局のニューヨーク支局に報道ディレクターとして勤務し、2016年の大統領選ではラストベルト・中間層の没落・NAFTAなどをテーマに特集企画を世に送り込んだ。その後日本に帰国し、大手仮想通貨メディアの編集長を務めた。2020年12月に米国の大手仮想通貨取引所の日本法人の広報責任者に就任。2022年6月より現職。

「ザ・ガバナンスドラマ」と言えるような出来事が起きている。

仮想通貨レンディングサービスが有名なAave(アーべ)のDAOで、7月26日、Llamaというサービスプロバイダーへの報酬支払いを停止する提案が出された。

提案を出したのは、Aave Chan Initiative (ACI)。Llamaはトレジャリーの管理やプロトコルのアップグレード、分析などでAaveでアクティブなサービスプロバイダーだった。Llamaとの契約終了まで2ヵ月残っているが、直ちにLlamaとの契約をキャンセルしたいという提案だ。

ACIのMark Zeller氏は、Llamaへの支払いで24万ドルが残っていると指摘し、「たった2カ月だから待てば良い」という話ではなく「DAOが100万ドルの4分の1に相当する額をLlamaへの支払いではなく、もっと有益なことに使えないか?」を問う話だと主張。ACIとTokenLogicがLlamaの業務内容を引き継ぐことを提案した。

Mark Zeller氏は「Aave最大のデリゲート」であり、DAOでの影響力が大きい。TokenLogicは、同じくDAOのサービスプロバイダーで、Llamaの一部のメンバーが移籍をしたことでも知られている(当初同氏はこれを理由にLlamaへの契約打ち切りを模索していた)。

同氏はLlamaがとりわけトレジャリー管理の失敗でUSDCによる給与支払いで一部に遅れが生じたことやさらに別のサービスプロバイダーを使っていたことを批判し、「Llamaのパフォーマンスは期待はずれに終わった」と述べた。

これに対してLlamaは、「事実と異なることがある」と反論する一方、また残り2ヵ月で行う予定の業務(CuratorとStrategicAssetManager)の引き継ぎが難しいことを説明。残り2ヵ月の報酬削減には応じると述べた。

Llamaとの契約を打ち切るかどうかをめぐる投票開始は7月31日。選択肢は、YAE (即刻打ち切り)NAY(打ち切りなし)ABSTAIN(棄権)Reduce Stream(報酬削減)の4つだ。投票終了日は8月3日だ。

DAOとサービスプロバイダー

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