オランダは、欧州連合(EU)の第5次アンチマネーロンダリング指令(AMLD5)をめぐり、中央銀行が仮想通貨業界の監視を行うこととなっている。しかし、その手法を巡って、オランダの仮想通貨業界からは非難の声が上がっている。
オランダは、監視費用は仮想通貨基盤の事業体が負担するとしており、伝統的な信用およびクレジットカード会社の負担額よりはるか高くなるとみられている。
AMLD5は、EUのマネロン対策の透明性を高め、統合されたアプローチをもたらすはずだが、加盟国がそれぞれ自国の利益を優先して異なる解釈をしている。
例えばオランダでは、財務省が、同国中央銀行が仮想通貨会社の監視を担うとすることは権限の範囲を超えていると非難されている。弁護士のフランクト・ハート氏は、財務省の議会への草案を調査している。
「これは、(AMLD5の)指示をはるかに超えている。この想定される監視は、普通ではない」
AMLD5が効力を持った1月以前にも、オランダ当局のアプローチは批判を浴びていた。新たな規則のコンプライアンスを逃れる目的で、先物およびオプション取引のデリビット(Deribit)は運営をパナマに移し、マイニングプールのシンプルコインは完全に閉鎖している。
現在、オランダの提案に関するさらなる情報が開示され、中央銀行による監視費用として、同国の仮想通貨企業約50社が170万ユーロ(2億円)を負担するとなっている。
例えば、従業員がわずか3人のBitkassaの負担額は3万4000ユーロ(約400万円)近くになるとされ、伝統的な信用およびクレジットカード会社の負担額よりはるかに高い。
オランダのビットコイン企業協会は、「信託やクレジット会社を超える厳しい監視の実施は、リスクベースのアプローチでない」と指摘している。
同政策や追加費用については、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック前に議会で協議されていた。この草案が通過すれば、多くの仮想通貨事業が閉鎖する可能性もある。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン