著者 DMM Bitcoin マーケットレポート

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米国の共通インフレ期待指数(CIE)推移

FRB公開資料より当社作成
左軸:SPF調査の10年先PCE
右軸:ミシガン大学の消費者物価調査

上図は、FRB(米連邦準備制度理事会)が年4回発表しているCIE(共通インフレ期待指数)を表したものだ。

青線がSPF(フィラデルフィア連銀の経済調査「サーベイ・オブ・プロフェッショナル・フォーキャスターズ」)調査の10年先PCE(個人消費支出)を反映したもので、オレンジ線がミシガン大学の消費者物価調査を反映したものである。

今までFRBは、インフレを図る指標としてBEI(ブレークイーブンインフレ率)と呼ばれる、価格変動の激しい商品価格やエネルギー価格を省いた、市場中心のコアインフレ指標を重要視していた。

しかし、コロナによるサプライチェーンの遅延やロシアとウクライナの戦争に起因するコストプッシュ型のインフレ実情を把握するために、食品価格やエネルギー価格を加えた一般消費者目線のインフレ指数であるCIE(共通インフレ期待指数)を重要視する方向にFRBはシフトしている。

図を見ると、直近の推移は依然として2008年から2009年レベルの高水準に位置しているものの、ロシアウクライナ戦争が顕在化してから初めて共通インフレ指数がマイナス成長となっており、FRBが問題視している食品価格やエネルギー価格を含めたインフレが鈍化してきていることがわかる。

直近でも、1/12に発表されたCPIが前年同月比6.5%と低い水準であったことや、12月の雇用統計で平均時給前年同月比が予想5.0%に対し実績値4.6%とサプライズな展開となり、唯一堅調な推移だった労働市場もインフレ後退傾向を示している。

2023年の利下げは見込んでいないというのが、現FRBボードメンバーの共通見解ではあるが、今後の各経済指標やCIE指数の内容次第によってはリセッション懸念から方針転換する可能性もありえるだろう。

金融引締め局面が終焉局面を迎える兆候が見られれば、BTCやETHをはじめとする暗号資産市場やリスク資産市場には追い風となるため、今後の先行きに注意が必要だろう。

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本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限らない。