大和証券グループは19日、証券業務の一部にブロックチェーン技術の実用化に向けた技術検討プロジェクトを完了させたと発表した。証券業務における約定照合と呼ぶプロセスでの効率化に向け、具体的なソリューションの構想をまとめている。

金融機関や機関投資家など26社と共同で、証券ポストトレード業務の約定照合プロセスへのブロックチェーン技術の適用可能性について検討した。大和証券グループが事務局となり、昨年9月から4ヶ月間にわたり検証を行った。

証券の注文が成立した後、セルサイドである証券会社とバイサイドである機関投資家の間で、約定情報などを照らし合わせている。照合する項目は約定日や決済日、数量、単価、銘柄コードなど多岐にわたり、情報に齟齬があれば修正作業を行う必要もある。

プロジェクトの成果をまとめたワーキングペーパーによれば、約定照合作業は短期間での業務完了が求められ、「極度の煩忙状態になる」という。また業界標準が存在せず、個社対応となっていることで業務煩雑化やコスト増加の課題もあった。

大和証券グループ ワーキングペーパー「約定照合作業におけるDLT適用検討 フェーズ2」より

今回のプロジェクトでは、ブロックチェーン技術を使い、約定照合作業の効率化を目指した検討を行った。

サービスプロバイダー(SPが)が独自に開発して金融機関に提供している約定照合システム機能の一部を、スマートコントラクトとして実装し共同利用できるようにすることで、情報連携の効率化を図ることができるとしている。

大和証券グループ ワーキングペーパー「約定照合作業におけるDLT適用検討 フェーズ2」より

ワーキングペーパーの中では、具体的なソリューション構築にむけた構想をまとめている。この構想実現に向けては、「必要となるシステム開発・運営を担う枠組みの決定、必要な費用の性さ、開発資金の調達など」についてより具体的な検討が必要だと指摘。今後は構想実現に向け、関係各社と連携を進めていく方針だ。