ブロックチェーンでCO2削減価値にストーリーを付加、取引活性化狙う

 ブロックチェーンを使い二酸化炭素の削減量を一般消費者間で取引するシステムを開発している電力シェアリング(東京・世田谷)は25日、環境省開催の事業課題検討会で、プロジェクトの概要を明らかにした。J―クレジットやグリーン電力証書といった現行の環境価値取引制度の利用は、企業間が中心となっている。制度の問題により、消費者の生み出す環境価値は市場にのりにくく、価格がつかずに消費される分は年間2000億円ほどになるという。同社は、ブロックチェーンを使って消費者をこの市場に取り込むアイデアを説明した。

 電力シェアリングは、個人宅などに設置された太陽光パネルによって創出される二酸化炭素の削減価値をメーターで計測し、一般消費者など電力の小口消費者間で売買する実験を6月末に開始する。

 同事業でブロックチェーンを使う最大のポイントは、環境価値を一般化したコモディティから「ストーリーのついたグッズ」に変えるところにある。取引に参加する個人の属性情報をブロックチェーンで可視化し、それを付加価値として環境価値と一緒に売り出すことで、同取引を活性化する狙いがある。

 電力シェアリングの酒井直樹代表取締役社長は「環境価値とひとことで言いますが、例えば大規模なメガソーラーの生み出すCO2の削減価値と、志を持った地域の個人宅が少しずつ生み出した価値は、果たして等価でしょうか?私は違うと思います」と意見を述べた。

 誰がどのように環境価値を生み出したかという情報をプレミアムとして付与すると、工場で創出された差別化されていないものよりも高く売れると説明する。また、ブロックチェーンで売り手と買い手の双方向のコミュニケーションが可能になると、マーケティングにも使えると指摘した。例えば、スーパーマーケットが、同地域の個人宅からあえて環境価値を買い取り、対価に加えてクーポンを送るなど、このシステムを宣伝ツールとして活用することも考えられるという。

 現行の取引制度では、売買相手を選ぶことができないが、ブロックチェーンを導入すればそれができる。また、手間とコストを削減し、環境価値がより高く売れるようになることで供給量が需要に対して少ない問題も解決できる可能性がある。

 電力シェアリングなど同事業を担うコンソーシアムが作成したデータによると、太陽光発電を導入している住宅数はおよそ200万戸あり、年間発電量は計360億キロワットアワー(kWh)。うちJ―クレジットとグリーン電力証書によって取引されているのは4%にあたる15億kWhのみで、96%が市場で取引されずに自家消費されている。

 ブロックチェーンによる環境価値取引事業は環境省が公募し、電力シェアリングとデジタルグリッド(東京・千代田)の提案が採択された。課題検討会の第2回目は6月末に開催され、より具体的な課題が議論される見通しだ。

 

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