SBIホールディングスは30日に2020年4~6月期の決算を発表した。傘下の仮想通貨(暗号資産)取引所SBI VCトレードのトレーディング収益は33億6900万円だった。税引前利益は前年同期比25.8%増の27億7800万円となった。

今回の決算説明資料の中では、SBI FXトレードでは今年8月に仮想通貨の差金決済取引(CFD)を開始する予定であることも明らかになった。仮想通貨のCFD取引については開始準備がしていると以前から言及されていたが、具体的なスケジュールが出てきた形だ。

また6月の経営近況報告会の中で発表された「暗号資産ファンド」については、今年9月にSBI VCトレードで業務を開始する予定だとも記されている。

暗号資産ファンドは、個人投資家向けに匿名組合として提供されるもので、ビットコイン(BTC)やイーサ(ETH)、XRPなどを組み入れて運用する形になるとみられている。

出典:SBIホールディングス 決算説明資料

英B2C2の株式を90%取得へ

SBIは7月1日、仮想通貨市場のマーケットメイカー事業を行うB2C2社の株式を取得することで、同社の既存株主と合意に達したと発表している

B2C2は英ロンドンに拠点を置く企業であり、 英国や米国、日本などに拠点を持ち、仮想通貨取引所などへの流動性提供を行っている。

今回の決算説明会の中で、SBIの北尾吉孝CEOは、B2C2の株式取得について「我々の暗号資産のビジネスがグローバルに広がる可能性が出来てきたわけであり、非常に重要な布石だ」と強調した。

北尾氏によれば、B2C2への出資は2段階に分けて行われる予定だ。9月末に株式の3分の1を取得し、12月末に90%まで比率を上げることになるという

B2C2からの流動性提供を通じて、スプレッドをタイトにすることで、顧客基盤の拡大を目指すとしている。またB2C2との協業で、新しい商品開発などでの協業などでシナジー効果を追求していく。

ポストコロナでブロックチェーンに注力

「ポストコロナ」「ウィズコロナ」のもとで、ブロックチェーンによるサプライチェーンマネジメント分野に対する注力も進めていく方針だと、北尾氏は主張した。

新型コロナウィルス以後、「中国依存型の生産体制から、供給源を多様化していく生産体制になる」と北尾氏は指摘し、サプライチェーンの透明性や安全性を保つことが非常に重要になると主張する。

北尾氏は、「こういった課題に応えるのは分散型台帳技術(DLT)しかない」と述べ、SBIが出資しているR3社のブロックチェーン「コルダ」を使ったトレーサビリティ構築をサポートしていく考えを示した。

「リップルとコルダを結びつける」

また決算説明会では、最近発表したデジタル通貨「Sコイン」についても触れた。北尾氏はSコインの開発を通じて、仮想通貨XRPを展開する決済企業リップルとR3のブロックチェーン「コルダ」を結びつけることを目指すと語った。

SBIが発表したSコインの実証実験では、R3のブロックチェーン「コルダ」をベースとしたものだが、これをリップルの技術を使った送金・決済アプリ「マネータップ」と連携させる考えだ。

「リップルとコルダの技術を結び付けることは、僕がずっと言ってきたことだ。これが実現できれば、確実にグローバルスタンダードになりえる」と、北尾氏は強調した。SBIはリップルとR3の両方に出資し、日本でもジョイントベンチャーを展開している。北尾氏はリップルとR3との決済分野での提携を仲介することについても意欲を見せていた。