10月8日、英国の金融行為規制機構(FCA)は仮想通貨企業に対し、製品やサービスを明確かつ公正、さらに透明性を持って広告宣伝することを求める新たなマーケティング規則を課した

紹介ボーナスの禁止から、初めて仮想通貨に投資する者に対する24時間のクーリングオフ期間の導入まで、より厳格な金融宣伝(FinProm)精度は、仮想資産に伴う高リスクから消費者を保護することを目指している。

特に、クーリングオフ規則は、ユーザーが仮想通貨投資を見極める機会を提供し、仮想通貨とそのコミュニティの信頼性を強化するものだと、トランザクのコンプライアンス責任者であるジェームズ・ヤング氏はコインテレグラフとのインタビューで語った。彼はさらに「規制が増えれば増えるほど、消費者にとっての保護が強化される。その結果、仮想通貨が安全と認識され、その採用が指数関数的に増加すると思う」と付け加えた。

しかし、紹介ボーナスが様々な業界で人気のマーケティングツールであることを考えると、仮想通貨業者は、他のまだ利用可能なインセンティブスキームについてより明確な説明が必要だと、ヤング氏は指摘した。

「確かに驚きはあった」とヤング氏は認めた。「FCAがこれほど厳格な禁止を実施した他の業界は思いつかない。クーリングオフ期間とインセンティブの禁止がどのように結びついているのか、私にはよくわからないが、それは適切であるべきだと思う」。

この新規制は、米国での規制強化が続く中、英国がグローバルな仮想通貨ハブとして魅力的に映る中で導入された。大手仮想通貨企業であるOKXや決済プラットフォームのムーンペイなどはすでにFinPromへの対応計画を発表しているが、一部の企業にとっては、その事業規模がグローバルであるため、新規則の適用は困難であった。

例えば、仮想通貨取引所のバイナンスとバイビットは、新規制への対応を進める中で、英国の新規ユーザーの受け入れを停止した。両社のサービスは、新規制に準拠するためにその地域での事業を縮小することにだろう。

ヤング氏は、FCAが新たな金融広告規制が企業にとって即座に実施するのが「非常に困難」であることをすぐに認識したと話す。「我々はこれまでマネーロンダリング規制に準拠してきたが、今では行動やコミュニケーションに関するより広範な規制に対応しなければならない」と彼は指摘した。

9月には、FCAは新たなマーケティング体制に関連する技術的問題を解決するための期限を、英国登録の仮想通貨業者に対して来年1月8日まで延長した。

グローバルな規制の一貫性

仮想通貨業者が新たなFCA規制に準拠しつつ、他の管轄区域での一貫した適合性とユーザーエクスペリエンスを確保することについて、異なる規制要件をスムーズに組み込むために法人間での区分が必要だとヤング氏は話す。

「これはFCAが特に複雑なグループ構造を持つ企業が直面していると指摘した課題の1つだ」と彼は語る。「一部の国では、実際の広告に関して非常に厳格な規制がある一方で、他の国ではまだ仮想通貨業者に対する規制をどうするべきかを真剣に検討されていない」。

規制の未来予測の難しさを認めつつ、ヤング氏は各法域での規制の統一化を求めている。

仮想通貨はその性質上、グローバルなものだ。私は規制当局が仮想通貨をどのように規制するかについて、グローバルな一貫性を強く望んでいる。また、仮想通貨業者がこれらの新規制にどのように準拠することが期待されているのかについて、より詳細なガイダンス求めている」。

仮想通貨業界に対するより広範なグローバル枠組みへの要求は新しいものではない。10月13日、G20は、G20内外での仮想通貨の包括的な監督を提唱する仮想通貨規制のロードマップを全会一致で承認した。

ヤング氏は、仮想通貨の大量採用は規制と業界への信頼を通じて促進される可能性があると考えているが、FCAや他の規制当局は消費者保護とイノベーションの間で適切なバランスを取るべきだと指摘した。

「私は規制を歓迎するが、それは適切でバランスの取れたものでなければならない。市場から企業を追い出すような設計であってはならない。それは市場の新しさと現状を公正に考慮した適切なアプローチでなければならない」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン