仮想通貨市場はここ数カ月で大きな動揺を経験している。最近の相場反発でも、市場の時価総額は3月のピークを下回ったままだ。
バイナンスリサーチのレポートによると、6月にはドイツ政府によるビットコイン(BTC)売却と同時に市場全体の時価総額が11.4%も減少する「過酷な」状況となった。
ドイツ政府のBTC売却に加え、米国政府が6月26日にビットコインを大量に移動させ、最近ではマウントゴックス(Mt.Gox)が債権者への弁済を始め、市場に14万BTCが放出されたことで状況をさらに悪化させた。
仮想通貨市場の構造的な弱点
バイナンスリサーチのレポートは、新たに設立された「キャピタル、ピープル、テクノロジー(CPT)」フレームワークを通じて、市場の構造的な弱点を浮き彫りにしている。
このフレームワークによれば、新たな資本流入が減少し、トレーダー同士が限られた利益を求めて直接競争する「プレイヤー対プレイヤー(PvP)」市場が形成されている。
このPvP市場では「新たな資本流入がない」ため、一方の市場参加者が利益を得るためには他方が損失を被る状況が続いている。
バイナンスリサーチのリポートは、ステーブルコイン供給の停滞、現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)への資本流入の減速、プロジェクト資金調達の減少などを挙げ、流動性が減少していると指摘する。
市場のポジティブ要因は?
バイナンスリサーチのレポートは、市場の下落を相殺する可能性のある今後のポジティブな要因についても言及している。
マクロ経済でのインフレの鈍化や金利の引き下げの兆候が仮想通貨市場を刺激し、市場の時価総額を押し上げる可能性があるとレポートは指摘している。
また、ステーブルコイン供給の増加や7月23日頃に予想されるイーサリアムETFの承認が、イーサリアム需要を押し上げる可能性があると予測している。