大手ハイテク企業では従業員の解雇や採用凍結が目立つようになっているが、仮想通貨業界の雇用市場では減速の兆候は見られないようだ。

ここ数週間、いくつかの大手ハイテク企業が株式市場の低迷と、パンデミック時にブームとなった製品の需要縮小を理由に、スタッフ削減を発表している。最近発表された人員削減には、ツイッターやウーバー、アマゾン、ロビンフッドなどが含まれる。

ストリーミングサービスのネットフリックスは火曜日、収益の伸びが鈍化する中、主に米国を拠点とする150人の従業員のレイオフすると発表した。フェイスブックの親会社であるMetaは、収益目標を達成できなかったため、中堅・上級レベルを対象に採用凍結を実施した。

A Netflix employee post on LinkedIn

仮想通貨業界も全く無縁ではない。コインベースは第1四半期に4億3000万ドルの損失を計上し、雇用を減速させると発表しました。コインベース最高執行責任者のエミリー・チョイ氏は、2022年に従業員数を3倍にする計画だったがが、「採用を遅らせ、最優先のビジネス目標に対して必要な人員を再評価する」必要があると述べている

それでは、仮想通貨業界の採用が大きく減速するのはこれからなのだろうか。コインテレグラフが取材した仮想通貨関連のリクルーターはそう考えていない。

「仮想通貨業界では雇用が鈍化していない。我々はこれまでと同様に忙しい」とクリプト・リクルート社の創設者であるニール・ダンドン氏は述べています。

ダンドン氏の会社は、ブロックチェーンと仮想通貨の分野だけに特化したリクルーティングを手掛けている。

「我々は米国、アジア・太平洋地域、欧州の各拠点をチームを配置してあり、地域ごとに高い需要がある」

プルーフ・オブ・サーチ社の創業者ケビン・ギブソン氏はコインテレグラフに対し、ハイテク分野のレイオフは今のところ仮想通貨業界のクライアントにほとんど影響を及ぼしていないと述べている。

ギブソン氏は「これまで2社から解雇の話を聞いただけだ」と話す。「この状況は来月には変わるかもしれないが、余剰人員はすぐに資金力のある優良プロジェクトに吸収されるだろう。そのため、転職希望者としては何の変化も感じないだろう。もし職を失ったとしても、すぐに複数のオファーが来ることになる」

VCの資金調達 funding runways

ギブソン氏によると、ほとんどの仮想通貨プロジェクトはまだライフサイクルの初期段階にあり、ベンチャーキャピタル(VC)から昨年に獲得した資金で運営されている。

「質の高いプロジェクトの大半は昨年に資金を調達しているので、引き続き開発と雇用が行われるだろう」と、ギブソン氏は語っている。

CBインサイツのレポートによると、ブロックチェーンと仮想通貨業界のスタートアップ企業は2022年第1四半期に記録的な資金調達額となっている。第1四半期に92億ドルの資金を調達しており、前四半期から4億ドル増加している。7四半期連続でブロックチェーン業界の資金調達額が増加している。

ダンドン氏は従来のテック企業やそこの従業員が仮想通貨分野に進出し、仮想通貨業界の雇用市場がさらに豊かになっていることを実感しているという。

今年1月に発表されたLinkedinの調査によると、2020年から2021年にかけて米国では仮想通貨関連の求人情報が395%急増したのに対し、同期間のテック業界では98%の増加にとどまった。要求される職種は、ブロックチェーン開発者やエンジニアが最も多かったという。

Glassdoorによると、ブロックチェーン開発者の平均年間給与は10万9,766ドルだ。エンジニアの平均年収は10万5,180ドルとなっている。

現在の仮想通貨の弱気市場が、仮想通貨企業のレイオフにつながる可能性があるかどうかを質問すると、ダンドン氏は2018年ど同様の状況が展開されるとは考えていないと述べている。

「過去にはは、ビットコイン価格が暴落すると、求人も右肩下がりになる傾向があった。求人状況はBTC価格とほぼ直接的に相関していた」とダンドン氏は説明する。

「今回、仮想通貨企業はより責任ある方法で財務を管理するようになっている。状況は異なる。[...] これはつまり、はるかに安定した雇用市場になっているということだ」