金融活動作業部会(FATF)は2019年に仮想通貨(暗号資産)に関する規制ガイドライン策定を世界各国に求めた。16日から開催されているV20会議では、FATF事務局長兼G20副長官であるデビッド・ルイス氏が、規制の導入と対応がこれまでどのように進められてきたかを説明した。

FATFはマネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐ目的で、仮想通貨の送信先と受信元で顧客情報を共有する「トラベルルール」の遵守を各国に求めている。

ルイス氏は、現在、多くの国や地域でトラベルルールを国内法に適用されてきていると話した。ただ一方で仮想通貨サービスプロバイダー(VASP)は、トラベルルールやFATFのフレームワークへの対応は「比較的初期段階」であるという。現在までにVASPがコンプライアンス対策への新しいソリューションに取り組むもうとする中で、技術的な進展があったことは認めているものの、肝心のトラベルルールについては「世界的、実用的に実施されていない」と強調した。

ルイス氏によるとFATFは現在、新たなリスクを注視しており、新型コロナウイルスのパンデミックのなかで不正な資金移動のために仮想通貨の使用が増加しているという。

不正取引に利用されている仮想通貨の総額はまだ小さいものの、麻薬や違法な武器の売買、人身売買などに利用されていると指摘した。今後は特に分散型取引所(DEX)や匿名通貨、ミキシングなど取引元がわからないツールやサービスを懸念している。

FTAFはさらに頻繁に所在地を変える「管轄権ホッパー」についても懸念を表明。既報の通り、「管轄権ホッパー」についてはバイナンスが暗に指摘されている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン