仮想通貨取引所バイナンスは21日、インドの同業WazirXを買収し、インド市場へ参入することを発表した。11月25日からインドの法定通貨ルピーで、仮想通貨を売買することができるようになる。
発表によれば、2020年第1四半期にはインドのWazirXのマッチングシステムとも統合する計画だ。インドのユーザーはルピーでテザー(USDT)を購入し、バイナンスに上場している仮想通貨を取引できるようになる。
バイナンスのジャオ・チャンポンCEOは、「WazirXの買収は、インドのブロックチェーンエコシステムを強化するとともに、マネーの自由を達成するための新たな1歩となる」と、今回の買収を意義を強調する。
「インドの若くて巨大な人口が、新しい金融技術を採用し、それを構築するための優位性を与えることになる。これはインドを世界のブロックチェーン・イノベーションセンターにし、インド国内の仮想通貨導入を促す重要な役割を果たすことになる」
またWazirXのニシャル・シェティCEOは、仮想通貨は世界中の発展途上国でこそ必要となるものだと述べている。
「仮想通貨の大規模な導入の次の段階は、世界中の発展途上国から生まれる。10億人以上の人口を抱えるインドは、仮想通貨の大規模な導入に向けた準備が整っている」
インド政府は仮想通貨に強硬姿勢
ただインドについては、政府が仮想通貨について強硬な姿勢を示している状況だ。インドの中央銀行は昨年、仮想通貨取引所と銀行との取引を禁止する措置を行ったが、現在この措置の合法性を巡り最高裁で争われている。
またインド政府の専門家委員会は7月に仮想通貨を全面禁止する報告書を提出。この案はまだ政府の正式な方針として採用されていないが、仮想通貨禁止に対して懸念する声が民間からは噴出している。
バイナンスは法定通貨サポート拡大
バイナンスは世界各国で法定通貨とのオンランプを築こうとしている。
今年9月に米国でバイナンスUSを立ち上げた後、ロシアルーブル、ユーロなどの法定通貨への対応を進めた。中国では人民元を使ったP2P取引をスタートさせている。
また今月16日にはトルコリラのサポートを開始。さらに豪州で仮想通貨取引所を開設する意向も明らかにしている。