オーストラリア出身の仮想通貨億万長者ティム・ヒース氏が、2024年にエストニアで誘拐されそうになった際、襲撃犯の指を噛みちぎって逃れたことが、現地の裁判で明らかになった。

長年にわたり仮想通貨に投資してきたヒース氏は、2024年7月、エストニアの自宅アパートの階段でペンキ職人を装った2人組の男に襲われた。2025年に入り、仮想通貨関係者を標的にした誘拐事件が増加しており、業界関係者はセキュリティの強化を迫られている

シドニー・モーニング・ヘラルド紙によれば、犯人の1人は元ボクサーのアゼルバイジャン国籍のアラヴェルディ・アラヴェルディエフ被告だ。

さらにエストニアの現地メディアによれば、犯人はヒース氏の口を塞ごうとしたが、ヒース氏はその手にかみつき、指を噛みちぎったという。

犯人たちはヒース氏をバンに押し込もうとしていたが、ヒース氏は30秒ほどのもみ合いの末に脱出し、自宅に逃げ込んだ。彼はこの際に歯を1本失ったという。犯人たちはバンを現場近くに放置して逃走。ちぎれた指の一部は、現場から約100メートル離れた路上で発見された。

オーストラリア出身のヒース氏は、エストニアに拠点を置くヨロ・グループおよびそのVC部門ヨロ・インベストメンツの創業者で、フィンテックや仮想通貨、ゲーミング領域に多額の投資を行っている。

オーストラリアン・ファイナンシャル・レビューの長者番付によれば、彼の資産は24億6000万豪ドル(約16億1000万ドル)に達する。

Source: Australian Financial Review

犯行計画は数か月前から進行

報道によると、7人の犯人グループは、事件の数か月前からGPSトラッカーなどを用いてヒース氏の動向を監視していた。

犯人らは偽造されたジョージアのパスポートを使用してエストニアに入国。事件の数日前には、ペンキ職人になりすますために作業着や工具類をホームセンターで購入していた。

計画では、ヒース氏を近くに借りたサウナ施設に連れ込み、仮想通貨を送金させる予定だったという。そのためにハッカーも雇われていたとされる。

この事件では、アラヴェルディエフ氏のほか、ジョージア国籍のイルガル・マメドフ氏が逮捕されており、2人はエストニアで裁判にかけられている。主犯格とされるナジャフ・ナジャフリ氏を含む2人は警察に指名手配されており、残りの3人は未特定のままとなっている。

誘拐被害にあったティム・ヒース氏(右) Summit. Source: Yolo Group

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】

被告は無罪を主張

アラヴェルディエフ氏は法廷で「誘拐の報酬として10万ユーロ(約11万8000ドル)を約束されていたが、実際には何もしなかった」と主張し、関係者に計画中止を呼びかけたと証言している。

一方、マメドフ氏は逃走用の運転手とされているが、関与を否定。「偶然旅行でエストニアに来ただけ」とし、自身にかけられた容疑は「嘘で作り話だ」と主張している。

脅威は現在も続いている可能性

検察によれば、誘拐未遂事件の数週間後、ヒース氏はXではなくTelegramで、彼の自宅写真と共に30BTC(当時約330万ドル)を要求するメッセージを受け取っていた。

ヒース氏がこれに応じなかったため、それ以上の接触はなかったが、検察は「脅威は依然として継続している可能性がある」と指摘している。

事件以降、ヒース氏は民間警備に310万ドル以上を費やし、自宅も移転したとされている。現在、彼の法務チームは、このセキュリティ費用の賠償を被告側に請求している。

S.BLOXに口座開設をして最大で3,000円のビットコインがもらえるリニューアルキャンペーンを実施【PR】

仮想通貨, Estonia, Court, Crimes