仮想通貨投資家のグループが、今年6月に大規模なセキュリティ侵害を受け、1億ドルの被害を出した「アトミックウォレット」に対して集団訴訟を起こした。

ドイツのメディアBNE Intelli Newsの報道によれば、ロシアなどからの数十人の富裕層投資家が、この訴訟に参加している。

この訴訟の中心人物は、ドイツ人弁護士マックス・グートブロート氏と、モスクワのリーガルテック企業デストラ・リーガルの共同創業者ボリス・フェルドマン氏だ。法律事務所ベーカー&マッケンジーのロシアオフィスで20年以上パートナーを務めていたグートブロート氏は、約50人のクライアントを代表しており、彼らはアトミックウォレットの不正流出で総額1200万ドルを失ったと主張している。

「私たちはクライアントの資産を回収するために働いており、アトミックウォレットに対して集団訴訟を起こす予定だ」と彼は語った。「彼らはクライアントにハッキングの情報を提供せず、警察に報告もしなかった」。

ノンカストディアルウォレットであるアトミックウォレットは、2023年6月中旬に1億ドル規模の損失を出した。この不正流出は、プラットフォーム上の少なくとも5500の仮想通貨アカウントに影響を及ぼした。仮想通貨分析会社エリプティックは、このハッキングは北朝鮮のサイバー犯罪グループ「ラザラス」が関与したと報告している。ラザラスは、さまざまなハッキングを通じて何十億ドルもの仮想通貨を盗んだとされている

当初の報道では、ラザラスがアトミックウォレットへの攻撃の黒幕とされていたが、新たな主張では別の犯人がいる可能性が示されている。

フェルドマン氏の主張によれば、ウクライナのグループがハッキングを指揮した可能性がはるかに高いとのことだ。彼の会社、デストラは、投資家の代表として独自の調査を行ったという。「ウクライナのハッカーグループの関与の痕跡が見つかった」とフェルドマン氏は語った。

アトミックウォレットは6月の侵害が具体的にどのような条件で起こったのかを明らかにしていない。同社は、ユーザーのデバイスにウイルスがある、インフラストラクチャーが侵害された、中間者攻撃があった、またはマルウェアコードが注入された、といった4つの「最も可能性の高い」原因を挙げただけだ。また、アトミックウォレットは、影響を受けたのはアプリユーザーの0.1%未満であると繰り返し強調している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン