米国のアメリカンフットボールリーグNFLの優勝決定戦であるスーパーボウルの広告は、最も視聴され、最も高額な広告の1つとして知られている。
日曜日に行われた試合は約1億2700万人が視聴し、米国で今年最も視聴されたスポーツイベントとなっただけでなく、史上最も視聴されたスーパーボウルとなった。
広告枠は数が限られており、広告主は高額なプレミアムを支払う。一部の企業は30秒枠に最大400万ドルを投じた。高い広告費と莫大な視聴者数を背景に、各社は広告を際立たせようと工夫を凝らす。
しかしテック業界のウォッチャーたちは、スーパーボウル広告に見られるある共通点を指摘している。新しい技術が広告枠を埋め尽くすと、その後まもなくバブルが崩壊するという傾向だ。
スーパーボウル広告とバブル
2000年1月、インターネットの普及を背景にドットコム・ブームが最盛期を迎えていた。その年のスーパーボウルは「ドットコム・ボウル」とも呼ばれ、17本の広告がインターネット関連だった。
取引プラットフォームのイー・トレードの広告では、踊るチンパンジーの20秒映像の後に「今ので200万ドルを無駄にした。あなたは自分のお金をどう使っている?」というメッセージが映し出された。
その2カ月後、ドットコム・バブルは崩壊し、2002年10月まで急落が続いた。
同様の現象は2022年の「クリプト・ボウル」でも起きた。スーパーボウルLVIでは、コインベース、クリプト・ドットコム、イートロ、FTXの4社が仮想通貨関連広告を放映した。
すでに消滅したFTXは、人気ドラマ『となりのサインフェルド』の制作者として知られるラリー・デビッド氏を起用し、「仮想通貨を見逃すな」と投資家に呼びかけた。仮想通貨企業はこの年、30秒枠に推定650万ドルを支払っていた。
数カ月後、仮想通貨市場は崩壊した。5月にはテラのステーブルコイン・エコシステムが破綻し、年末までにFTX、セルシウス、ボイジャー・デジタル、ブロックファイが破綻した。
翌年のスーパーボウルでは、仮想通貨関連広告は1本のみで、ゲーム『リミットブレイク』に関連した非代替性トークン(NFT)の宣伝だった。2024年と2025年には仮想通貨広告はゼロだった。
コインベースの広告は評価低調
2年間の空白を経て、仮想通貨企業がスーパーボウルに戻ってきた。コインベースはバックストリート・ボーイズのカラオケ形式の広告を放映し、ラスベガスの球体型シアター「スフィア」でも上映された。
しかし反応は冷ややかだった。FTX崩壊以降、仮想通貨のイメージは改善していないと感じる人も多い。政治系配信者のジョーダン・ウール氏は「仮想通貨、AI、トランプアカウントと、スーパーボウルは毎年詐欺広告のテーマがある」とXに投稿した。
ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院は、スーパーボウル広告を「タッチダウン(成功)」と「ファンブル(失敗)」に分類して評価している。
同大学の調査では、コインベースの2026年広告は「ブランドや価値提案との明確な関連性を示せなかった」とされ、評価はFだった。
一方で仮想通貨業界は、近年、立法面で重要な成果を上げている。コインベースの広告は、米国最大の広告イベントで今後もブランド訴求を続ける意志を示したものとも受け取れる。
AIバブル崩壊の前兆か
仮想通貨関連広告は少なかったが、クリプト・ドットコムは新たなAIプラットフォーム「ai.com」をスーパーボウルで広告した。
今年のスーパーボウルでは、合計10本の広告がAIをテーマにしていた。アンソロピックはAIモデル「クロード」をアピールし、メタはAI搭載のオークリー製スマートグラスを披露した。グーグルの広告では、母と息子がAI画像生成ツール「ナノ・バナナ・プロ」を使って自宅をリフォームする様子が描かれた。アマゾンは俳優クリス・ヘムズワース氏を起用し、新しいアレクサプラスを紹介した。
AI技術の急速な普及は、企業評価額の急騰と、オープンAIのような企業が利益を出せるのかという疑問と重なっている。一部のウォッチャーたちは「AIボウル」がバブル崩壊の前触れではないかと見ている。
ポモナ大学の経済学教授ゲイリー・スミス氏と、カーネギーメロン大学で活動するコンサルタントのジェフリー・ファンク氏は日曜日に次のように指摘した。
「このAIバブルでは、AI依存型株式の価格が将来利益の現実的な見通しから乖離している。オープンAIやアンソロピックのような大規模言語モデル依存企業は巨額の赤字を出しているにもかかわらず、数千億ドル規模の評価を受けている」
広告は新規ユーザー獲得に焦点を当てている。スミス氏とファンク氏は「利益が出ていない状況で、テック業界はドットコム・バブル期に流行した指標、ユーザー数を再び強調している」と述べた。
スーパーボウルを前に、ソフトウェア開発者で研究者のカール・ブラウン氏は「どれだけのAI広告が出るかは分からないが、明らかに多すぎる」と語っていた。
イー・トレードは2000年に200万ドルを「無駄に」したかもしれないが、翌年にはドットコム崩壊を生き延びたと誇ることができた。FTXなどの仮想通貨企業は2022年に消えたが、今回はコインベースとバックストリート・ボーイズがラスベガスのスフィアを彩った。
AIバブルは崩壊する可能性がある。ただし過去のパターンが示す通り、いくつかの企業は生き残り、やがてそれを題材に広告を打つ存在になるかもしれない。
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