ブロックチェーン分析企業エリプティックによると、サイバー犯罪者たちは過去1年間で仮想通貨ミキサーからクロスチェーンブリッジへと活動をシフトさせている。
エリプティックがまとめたデータによると、6月と7月には、盗まれた仮想通貨のほぼ全てがクロスチェーンブリッジを通じて資金洗浄され、2022年前半からの状況が一変した。
このクロスチェーン利用のトレンドは、既存の手法が取り締まられ、犯罪者が新しい方法に移行する現象(いわゆる犯罪排除効果)によるものだとエリプティックは説明する。しかし、クロスチェーンブリッジへのシフトは、予想を上回るスピードで進行しているとも指摘する。

2022年7月から9月にかけて、ミキサーとクロスチェーンブリッジを通じて洗浄される資金の比率が逆転している。これは2022年8月の米財務省の外国資産管理局(OFAC)によるトルネードキャッシュへの制裁と相関していると、エリプティックは指摘した。同社によると、北朝鮮のハッキング集団「ラザルス」のようなサイバー犯罪者が、制裁後にアバランチ・ブリッジに集まった。
2022年11月から2023年1月にかけて、仮想通貨ミキサーが少し復活したが、これはレン・ブリッジ(RenBridge)が閉鎖されたためだ。レン・ブリッジは、資金提供者であるアラメダリサーチの親会社FTXが破産したため、12月に閉鎖された。エリプティックは、レン・ブリッジが運用中に洗浄された資金を約5億ドル(約741億円)と推定している。
しかし、その直後に犯罪者たちは再びクロスチェーンブリッジに戻って、より活動を活発化させたという。
エリプティックは、犯罪者たちがクロスチェーンブリッジを好む理由として、ブロックチェーン・フォレンジック企業がチェーン間で不正行為をスケーラブルな方法で追跡するのが困難であることを挙げている。
「犯罪者たちは、従来のブロックチェーン分析ソリューションが、ブロックチェーンやトークン間の不正なブロックチェーン活動をプログラマティックまたはスケーラブルな方法で追跡する手段を持っていないことを知っている」とエリプティックは指摘する。
さらに、盗まれたトークンの多くは、クロスチェーンブリッジを介してのみ交換されており、これらの分散型金融サービスのほとんどが身元確認を必要としないと、エリプティックは説明している。
同社は、2020年以降にクロスチェーンブリッジを通じて資金洗浄された不正または高リスクな仮想通貨は40億ドル(約5933億円)に達すると推定している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン