コーテックス(Cortex)財団は6月26日、人工知能(AI)機能としてディープラーニング(深層学習)を利用可能な分散型アプリ(dApps)用プラットフォームを開発したと発表した。仮想通貨イーサリアム(ETH)ブロックチェーンにおけるdApps・スマートコントラクト実行環境(EVM)の機能をすべて利用できる上、GPUによる高速化が可能な深層学習機能も併用可能という。
同社は、大規模な仮想通貨ネットワークへのAI機能導入は、今回が初と主張。同社技術が、分散型金融(DeFi)業界における信用報告書の作成、分散型仮想通貨取引所(DEX)の不正行為・詐欺防止に利用されることを期待しているという。また、eスポーツやゲーム分野も「多様な活用事例」(のひとつ)となると考えているそうだ。コーテックスのズーチー・チェン(Ziqi Chen)CEOは、次のように述べた。
「近い将来、機械学習、分散型意思決定、悪意ある行動の検出、スマートなリソース割り当てなどの技術に基づいたステーブルコインが登場するだろう。これらはすべて仮想通貨ネットワークに関わる課題で、ブロックチェーン内で利用可能な学習済みAIモデルを用意することが非常に有益であることが証明されるだろう」
一般にディープラーニング(深層学習)は、多数のサンプルデータを解析しモデル(判断基準)を抽出する「学習」と、学習によって得たモデルを基に(画像・音声・文字などの)新規データに対して判断結果を出力する「推論」に切り分けられる。
プレスリリースおよび公式ブログによると、コーテックスは、GPUによる高速化が可能な深層学習(推論)機能を備えたdAppsおよびスマートコントラクト実行動作環境として、「コーテックス仮想マシン(CVM)」を開発。CVMは、仮想通貨イーサリアム(ETH)ブロックチェーンにおけるdApps・スマートコントラクト実行環境(EVM)の機能をすべて利用できる上位互換性も特徴としているそうだ。
今後コーテックスは、dApps開発者などと協力し、コーテックスのメインチェーン上にAI機能を備えたdAppsを実装する計画と、ETH以外のブロックチェーンでも機械学習(深層学習)を利用できるようにするクロスチェーン計画を進行させる予定だ。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版