農産物サプライチェーンの効率化・コスト削減を推進する「Covantis(コバンティス)」イニシアチブが1月23日、イーサリアム開発企業コンセンシスを技術パートナーとして選択したと発表した。JPモルガン主導のコンソーシアム型ブロックチェーン「クオラム(Quorum)」を利用し、アグリビジネスにおけるサプライチェーンの効率化・自動化、また信頼性・透明性の向上を目指す。
Covantisは、2018年10月に設立されたプロジェクト。プラットフォーム名を兼ねた団体名でもあることが、12月4日に発表された。アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)、ブンゲ(Bunge)、カーギル(Cargill)、ルイ・ドレフュス(Louis Dreyfus Corporation)の4大穀物メジャー(ABCD)などにより構成されている。
イニシアティブの初期目標は、穀物や油糧種子(植物油・飼料などの原料となる種子)などに関する取引プロセスの自動化やコスト削減への注力にある。
アグリビジネスにおける従来サプライチェーンは、契約書・請求書など大量の紙ベースの文書が必要なこと、また手作業による文書処理の手間や時間がかかることなどから、高コストで非効率となっているという。これらをAIやブロックチェーン技術で置き換えることで、効率化・自動化に加え信頼性・透明性の向上を目指している。
コンセンシス、2020年立ち上げを支援
同イニシアティブは、Covantisプラットフォームの2020年立ち上げを予定しており、コンセンシスがその支援を行う。
基盤となるブロックチェーンとしては、JPモルガンが主導するイーサリアム(ETH)ベースのコンソーシアム型「クオラム(Quorum)」を採用。コンセンシスは、サービス構築・運用の自動化システム「PegaSys Orchestrate(ペガシス・オーケストレート)」、ブロックチェーン向けの統合クラウドサービス「Kaleido(カレイド)」、ETH用スマートコントラクトのぜい弱性検知・分析サービス「MythX(マイスX)」などエンタープライズ向けサービスやツールを提供する。
また同イニシアティブは、技術パートナー選定にあたりハッカソンなどを実施。ADMの前社長兼最高リスク責任者で、イニシアティブの独立アドバイザーを務めるステファノ・レッター氏は、コンセンシスの優れた技術力を強調した。
「コンセンシスは、卓越したプロトタイプを発表した。ブロックチェーン技術を利用し、貿易金融プロセスをデジタル化した実績がある。今回のパートナーシップにより、比類ない機能。セキュリティ・プライバシーを中心とした一流の製品を構築できると確信している」
ETH共同設立者兼コンセンシスCEOのジョセフ・ルービン氏は、Covantisがブロックチェーンの大きな可能性を証明していると述べた。
「革新的かつ最高のテクノロジーを活用し、農産物のグローバルな貿易業務を変革するというCovantisのコミットメントの力強さは刺激的だ。(中略)このプラットフォームは、ブロックチェーン技術が、業界を超えて情報サイロを除去し、コラボレーションを通じて価値を引き出すという約束を果たし始めた証拠だ」
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン
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