米コロラド州は4日、同州の証券法から仮想通貨を適用外にする法案を提出した。米国では米国証券取引委員会(SEC)による仮想通貨やICOに対する取り締まりが強化される中、米議会でも仮想通貨を証券法の適用外にしようという動きが出ている。

コロラド州議会の一部議員が提出した法案の名称は、「コロラド・デジタル・トークン・アクト」。デジタルトークンに従事する者に対して、ブローカーや販売業者としてのライセンス、証券としての登録を一部免除するという。「主に消費目的」のデジタルトークンの送金や購入、発行を手がける業者が現在の証券法では「規制上の不透明感」に直面していることを懸念し、次のように述べた。

「コロラド・デジタル・トークン・アクトによって、消費者を保護しつつ、コロラド州のビジネスが仮想通貨の経済システムを使って資金を調達し、ビジネスの拡大を実現する」

また同法案は、仮想通貨やブロックチェーンの可能性についても、次のように指摘した。

ブロックチェーン技術は、新たな分散型のウェブ3.0プラットフォームを作るポテンシャルを秘めており、現在の中央集権型のインターネットのプラットフォームやアプリに対して優位性を持っている

コロラド州の知事は仮想通貨推進派

コロラド州は、去年11月の中間選挙で、仮想通貨推進派の知事が当選したことでも知られる。民主党のジェレッド・ポリス知事が選挙活動のために使ったウェブサイトには、1ページをまるまる使ってブロックチェーン政策について記述があるほどだ。有権者の保護、サイバーセキュリティ、コロラドのエネルギー政策などで分散型台帳技術を導入することで、州の契約書、収支報告などで透明性を高められると主張している。

(引用元:ポリス氏のホームページ コロラド州のジェレッド・ポリス知事)

広まる「仮想通貨は証券法の適用外」の動き

先月20日、2人の米議会議員が20日、デジタル資産を有価証券の対象外にする法案を下院に提出した。共和党のウォーレン・デービッドソン議員と民主党のダーレン・ソト議員によって提出されたこの法案は、「トークン分類法2018」と呼ばれ、1933年と1934年に制定された証券法を改正し、デジタル通貨を「証券」の対象外にすることが狙いだ。

現在、SECの関係者からビットコインイーサリアムに関しては「証券でない」という見解が出されたが、他の仮想通貨に関してはSECは沈黙している。一方でSECは昨年11月、トークンセールの登録を怠ったとして、2つのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に「初めて」民事罰を科した。このことが投資家心理を冷やし、11月中旬から始まった仮想通貨相場の暴落につながったという見方が出ている。先月にもSECのクレイトン委員長が「証券法は守られなければならない」と厳しい規制の方針を示していた。

一部の政治家の間ではあるが、こうした規制強化の流れに対抗する動きが、米国でじわりと広がっているようだ。

SEC(米国証券取引委員会)とは、Securities and Exchange Commissionの略。米国証券取引委員会の略称として用いられる。この政府機関は1934年に連邦議会により創設され、現在では証券市場におけるあらゆる活動を管理及び規制する、中心的な組織になっている。透明性を生み出すというその使命を達成するため、SECは公開企業やその他の規制対象企業に対し、四半期報告書と年間報告書の提出を義務付けている。それらの報告書には、それぞれの期間における業務運営状況の詳細が説明されており、全て一般に公開されている。最近のSECの主要任務の1つが、仮想通貨市場とそれに関連する投資機関の調査である。これは、トークンという名目の下に有価証券を販売するといった、違法な行為を見つけ出すためである。

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