コインチェックの18年3月期の営業収益が前の期比で約75倍の537億円だったことが明らかになった。同社を買収したマネックスグループが26日に発表した決算説明資料の中で明らかにした。昨年の仮想通貨市場の盛り上がりを受け、コインチェックの収益が急成長していた。

 売上高は約64倍の626億円で、営業利益率にして85.7%だ。今年1月に発生したNEM流出事件に伴うNEM保有者への補償費用などで473億円の特別損失を計上したため、税引前利益は63億円となった。

 NEM流出事件が発生した際には、コインチェックが被害者への補償を自社で賄えるかどうかという懸念があったものの、実態は自社で補える分だけの利益があった。

 昨年の仮想通貨市場の盛り上がりと、事件前までのコインチェックの積極的な広告展開もあり、口座開設数や取引量が大幅に増えたものと思われる。また昨年後半の相場急騰が、利益を押し上げたとみられる。

 NEM流出事件以降の2~3月についても、停止されたサービスが多かったにも関わらず、5億円の営業利益を確保していた。

 マネックスGの松本大社長は26日、個人投資家向けのオンライン決算説明会で、「(仮想通貨交換)業登録を済ませ、サービス全面再開を目指す」と改めて語った。ただ実際に登録を取得できるかどうかは「金融庁の判断」と述べる。

 前期並みの収益を確保できるのかという点については、「取引所間の競争激化で、スプレッドの変化もありうる」と指摘するものの、前期と同レベルの収益は「目指すことは可能だ」と強調した。SBIホールディングスの北尾吉孝社長は、同社がサービスを始めた場合、「業界最小のスプレッドに設定する」と26日の決算説明会で述べている。

 コインチェックは現在、新規の口座開設をストップしているが、松本氏は「大きな顧客離れは起こっていない」と話す。個人投資家からは流出事件でのイメージ悪化を懸念する声もあったが、「ユーザーインターフェイスもよく、ブランド力もある」とし、シェア拡大に自信を示した。

 今後はマネックスグループ内での、仮想通貨やほかの事業とのシナジー展開も進めるとし、将来的には米国など海外での仮想通貨取引サービス展開の可能性にも言及した。また「独自トークン発行は将来的には考えていきたい」と述べた。