マネックスグループとコインチェックは6日、コインチェックの買収について東京都内で記者会見を開いた。マネックスの松本大会長兼CEOは、2か月程度を目標に金融庁から仮想通貨交換業の登録を取得し、現在停止しているサービスを全面再開したいと述べた。また将来的には、コインチェックの新規株式公開(IPO)も視野に入れたいとした。また不正流出したNEMの保有者への補償は、自己資金ですでに完了していることも明らかにした。

 コインチェックは、イーサリアムやリップルなど一部の仮想通貨については出金や売却を順次再開しているが、入金・購入は対象外だ。

 松本氏は「2か月というのはあくまで目標」としながら、「現在進めている内部管理体制の構築・強化も考えると、2か月以内にできると思っている」と話す。また金融庁からの交換業登録とサービス再開は「常識的にセットであると考えている」とし、みなし業者のままでのサービス全面再開はしない考えを示した。

 IPOのについては、松本氏は「仮想通貨交換業の本質がますます銀行に近いものになることが予想され、資本の増強が重要」と指摘する。また「内部管理体制を強固にするにもIPOは有効。将来的には株式市場に上場し、コインチェックを強い会社にする」と述べる。

 16日付で社長を退任する和田晃一良社長は、退任について「躊躇や迷いはなかった」と述べた。「事業継続のため、社長退任は考えてきていた」と明かす。和田氏は執行役員として会社には残り、今後は開発業務に統括することになる。

  松本氏は3年前からコインチェックのユーザーで、創業者の2人と以前から面識があったと話す。不正流出事件直後に連絡したが、3月にコインチェック側から改めてコンタクトがあり、子会社化の議論が進んだと経緯を明らかにした。

 統合のシナジー効果について、松本氏は「2社の顧客の年齢層はかなり違う」と指摘し、仮想通貨に投資している若年層を株式などほかの資産への投資に取り込めると期待する。将来的には「暗号資産を中核とした総合金融機関を作っていきたい」と語った。

 コインチェックは6日、オーガ(REP)、ダッシュ(DASH)、ジーキャッシュ(ZEC)について出金・売却を再開を発表しているが、匿名通貨やオーガの取り扱いについては「まだ決まった事実はない」(和田氏)としている。ネム(NEM)については今後も引き続き取り扱っていく方針だ。