SBIホールディングスは26日、2018年3月期決算説明会を開催した。仮想通貨子会社SBIバーチャル・カーレンシーズの取引所開始時期について、代表取締役社長の北尾吉孝氏は「早ければ夏」と明らかにし、「スプレッドを業界最小に設定し、グループ企業とのシナジーにより、直ちに業界トップになる」と自信を示した。

 北尾氏によると、取り扱う通貨は、ビットコイン(BTC)、ビットコイン・キャッシュ(BCH)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)を想定している。匿名通貨については「一切やらない」と明言した。

取引所のスプレッドを業界最小に設定

 傘下で金融情報を提供するモーニングスターが今月リリースした仮想通貨情報アプリ「マイ仮想通貨」について、仮想通貨取引所間の通貨の価格差が分かるよう情報を提供するとした上で、スプレッド(通貨を売る時と買う時の価格差、取引手数料)を高く設定して儲ける取引所のビジネスモデルを批判した。

 「顧客は口座を一度開設したからという理由で、高スプレッドの取引所を使い続けることは良くない」とし、SBIが取引所を始めたら、「業界最小のスプレッドに設定する」と何度も強調。スプレッドで儲ける取引所は「今後、儲からなくなる」と述べた。

 SBI証券やSBIリクイディティ・マーケットなど、手数料を抑えることで顧客を増やしてきた実績を仮想通貨業でも実践する方針だ。また、金融関連グループ企業(計850万口座)からの顧客流入が見込めるため、直ちに業界ナンバーワンになると自信を示した。

最短で夏に取引所を開始

 SBIバーチャル・カーレンシーズは、2月27日に取引所開設時期の延期を、3月9日に中国の仮想通貨事業大手フォビ(Huobi)グループとの資本・業務提携の基本合意取りやめを発表している。

 事業開始が遅れている理由については、今年1月末のコインチェック事件を受けてのセキュリティ強化、登録済み業者を含む金融庁による行政処分の増加、市場の取引ボリュームの減少などを理由に挙げ、当局の動きを見極めつつ、今年夏までに開始日の結論を出すとした。最短で夏に開始となる。

 他社との提携については、かつて北尾氏の盟友だった孫正義氏が率いるソフトバンクと、仮想通貨事業において、もう一度タッグを組むことはあるかと問われると、「ヤフーのことも含め過去に検討したことはあるが、魅力的とは思わない。自社でやる」とした。コインチェック買収の話を持ちかけられた事実があることにも触れ、「自社でできるから買う気には全くならなかった」と、自社で仮想通貨事業を推進していく姿勢を鮮明にした。