仮想通貨(暗号資産)取引所コインチェックがIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)を始めることがわかった。マンガアプリ配信を手がけるLink-Uが立ち上げた共同出資会社で仮想通貨を使った資金調達の支援事業を開始する。日経新聞が24日に報じた。

日経によると、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と調整し、2020年度内にも実施する意向だという。コインチェックは親会社であるマネックスの7月の決算でも、「2020年度内の本格稼働を目指し検討中」としていた。

IEOとはベンチャー企業などがユーティリティトークンを発行し、取引所で上場させることで資金調達を支援すること。

今回の案件でも、Link-Uがブロックチェーン関連企業と共同出資して設立した会社が仮想通貨を発行し、コインチェックが投資家に販売する。まんがや電子書籍などのコンテンツ購入に仮想通貨を使うという。

コインチェックは2019年8月にIEO事業の検討を開始したことを発表。トークンを活用した資金調達を行なっていない企業やプロジェクトで、すでにコンテンツを持ち、ファンコミュニティと事業成長を目指すものが対象としていた。トークンを有効活用し、コミュニティを拡大させることを考えている企業やプロジェクトなどを支援するとしていた。

IEOはICO(イニシャル・コイン・オファリング)と異なり、取引所の利用者しか購入できないが、トークンを取引所が審査することからICOよりも信頼感があると言われる。

海外では仮想通貨取引所バイナンスがIEOで先行している。同社は独自のIEOプラットフォーム「ローンチパッド」を持っており、2020年8月にはスクエア・エニックスなどが出資するブロックチェーンゲーム企業のザ・サンドボックス(The Sandbox)のIEOをサポートすることを発表。ローンチパッドを使ってユーティリティトークンである「SAND」の300万ドル(約3.1億円)のトークンセールが行われた。

【追記 2020年8月25日午前11時15分】

コインチェックはIEO事業について、正式に発表した。今回のLink-Uと組んで合弁会社を設立するのはHashPort社で、新たに「Hashpalette(ハッシュパレット)」を設立。ハッシュパレットは2020年3月に設立していた。

発行するトークンは「パレットトークン(PaletteToken, PLT)」。発行・販売されたトークンはブロックチェーンプラットフォームの「パレット(Palette)」で利用できるようになる。

(出典:Coincheck)

「パレット」はファンコミュニティでデジタルアイテムを発行・管理・流通させるためのブロックチェーンプラットフォーム。デジタルアイテムはノンファンジブル・トークン(NFT)として発行される。またパレットはコンソーシアム型ブロックチェーンになるという。ブロックチェーンへの参加企業については「複数社と協議中」としており、今後、順次発表するとしている。

コインチェックは今回の事業について、以下のような展望を示している。

将来的には「マンガの限定読切閲覧権」や「限定コンサート参加権」のような従来では実現しにくかったデジタルコンテンツならではの新たな体験をクリエイターやアーティストがお客さまに提供できるエコシステムを構築することが可能となります。そのようなエコシステムにおいて、決済や投票、あるいは運営ノードに対するインセンティブとして提供される「パレットトークン」の販売や流通を当社が支援することにより、エコシステムの成長を暗号資産により加速させていくという、新しい試みに挑戦いたします。