暗号資産交換業者コインチェックは10日、バーチャル株主総会支援サービス「シェアリー(Sharely)」の提供を開始したと発表した

コインチェックは今年6月にバーチャル株主総会の導入に向けた支援事業の検討開始を発表していた。シェアリーのサービスでは、オンライン上で議決権行使や質問が可能な「出席型」、オンライン上で傍聴するのみの「参加型」の両方に対応する。クラウドシステムを企業に対して提供するのに加え、バーチャル株主総会の運営方法の提案や当日の運営サポートといったソフト面での対応も行う。

株主はウェブサイトもしくはスマートフォンを通じて、バーチャル株主総会に参加することができるようになる。オンラインで株主総会の視聴、資料の閲覧、議案への賛否の投票、また企業への質問を行うことができる。

出典:コインチェック

企業側は専用のダッシュボードを通じて、オンライン株主総会の運営を行うことになる。事前の議決権行使分と合わせたリアルタイムでの議決権の集計確認、質問の確認や回答などを行うことになる。リアルタイムで情報が共有されることで、議長や役員、事務局がスムーズに連携できるようになる利点もある。

シェアリーのサービス自体は今年7月にベータ版の開発が完了。8月には実際にどのような課題があるのかを50~60社にヒアリングするとともに、400社へのアンケート調査を実施した。また8月末に上場企業1社にバーチャル株主総会を導入し、無事に開催することができたという。

「2020年度は50社導入を目指す」

10日に開催した事業説明会で、コインチェック共同創業者兼専門役員の大塚雄介氏は、シェアリー導入で新型コロナウィルス禍の感染対策や、遠方株主の参加機会提供、株主総会の運営負荷軽減を行えると強調する。

「昨今のコロナ禍において、三密回避が大きな流れとなっている。加えて株主総会は東京開催が5~6割を占めている。地方在住の株主が東京に来て総会に参加することは感染の恐れがあり、難しくなっている」と、大塚氏は指摘し、バーチャル株主総会による課題解決の余地が大きくあるとみている。

大塚氏によれば、シェアリーのサービスでは、経済産業省のオンライン株主総会の実務ガイドラインへの準拠や、参加型・出席型の両方への対応、既存の提携業者の変更が不要な点が特徴となるという。

今後については、毎月コンスタントに導入企業を増やしていき、2021年3月までに50社への導入を目指すとしている。

大塚氏によれば、コロナ禍においてリモートワーク・リモート会議が普及するようになったことで、企業サイドでもZoom活用やカメラといった機器導入が進んでおり、オンライン株主総会への「スキルセットが整っている」と話す。コインチェックで培ったユーザーエクスペリエンス(UX)を活かし、使いやすいサービスを提供することで、事業をスケールさせていきたいという。