コインチェックの蓮尾聡社長は、仮想通貨が代替資産の1つとして選択される傾向は強まっていくとの見方を示した。9日にメディア向けのラウンドテーブルの中で語った。
ビットコインは米イランの緊張激化を受けて価格が急騰した。蓮尾氏は「代替資産として仮想通貨が選考される傾向が強くなってもおかしくない」と指摘。金などの伝統的なアセットと並び、ポートフォリオの1つとして選ばれる可能性があるとみる。
ステーキングサービスの狙い
9日に発表したステーキングサービス開始については、「資産として仮想通貨を保有してもらう」ことを狙っている。
仮想通貨トレーディングの取引高が伸び悩む中で、新しいアセットクラスとして株式投資家などの新規ユーザーを惹きつけたいという。
既にコインチェックは、同じグループ内のマネックス証券との間で連携を進めている。たとえば昨年4月のマネックス証券で得たポイントを仮想通貨と交換するサービスや、株主優待で仮想通貨を付与する取り組みだ。
今回、仮想通貨を保有していることで報酬を得られるステーキングを展開することで、資産運用の1つとして投資家にアピールしていく。
レバレッジ取引終了の理由
コインチェックは昨年12月、レバレッジ取引と信用取引のサービスを終了した。
これについて蓮尾氏は「レギュレーションコストが上がっているため」と説明。改正法施行後には、金融商品取引法のライセンスを取得する必要が出てくるなど、「コストがかなり上がる可能性がある」という。
また現在の倍率上限4倍の規制が、規制強化で上限2倍になれば、「収益面での期待も難しくなる」と分析する。
「レバレッジ取引に対する開発リソースを振り向けることが最適ではないと判断した」と蓮尾氏は語った。
ただ12月25日の信用取引終了の発表の際に言及していたように、代替となる新サービスの検討を進めている。ロング(買い)とショート(売り)の両方ができるようにほかのサービスを考える必要はある、と蓮尾氏は述べた。
2020年は「規制がフレキシブルに」
メディア向けラウンドテーブルの中で、マネックスグループの松本大CEOは、2020年は仮想通貨の規制がよりフレキシブルになると予測した。
2019年は日本や世界で仮想通貨規制が論じられ、金融活動作業部会(FATF)によるマネーロンダリング規制などのルールが整備された。
松本氏は、中国のデジタル人民元をはじめ、様々なデジタル法定通貨やステーブルコインが出現する中で、仮想通貨の規制がより柔軟なものに転換していくとみている。
実際、デジタル人民元やイラン大統領による「イスラム仮想通貨」構想が出てくる中で、欧米のデジタル通貨に対する姿勢は変化してきている。たとえば、従来は仮想通貨批判の急先鋒だった国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人もデジタル通貨推進に宗旨替えした。
松本氏は「デジタル通貨が経済安全保障であることが認識され始めた」と指摘。フェイスブック主導の仮想通貨リブラをはじめ、デジタル通貨開発の機運が復活する可能性があると語った。
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