コインベースが、仮想通貨デリバティブ取引所デリビットの買収に向け、最終段階の交渉を進めていると、ブルームバーグが3月21日に報じた

デリビットは、ビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)のオプション取引で世界最大の取引所であり、同社の買収は、現在は先物取引に重点を置いているコインベースのデリバティブ事業を大幅に強化する可能性がある。

ブルームバーグによると、両社はドバイの規制当局に対して買収交渉を通知済みであり、取引が成立した場合、デリビットが保有するドバイのライセンスをコインベースへ移管する必要があるという。なお、1月時点の報道では、コインベースによるデリビットの評価額は40億〜50億ドルと見積もられていた。

デリビットは、オプション、先物、スポットの仮想通貨取引を提供しており、2023年の取引高はおよそ1.2兆ドルに達したとされる。

なお、前日の3月20日には、競合の仮想通貨取引所クラーケンが、デリバティブ取引プラットフォームであるニンジャトレーダーを約15億ドルで買収するとの報道が出ている

活況なデリバティブ市場

とりわけ米国においては、先物やオプションといったデリバティブの人気が上昇している。

先物は、一定の期日に資産をあらかじめ定めた価格で売買する契約であり、レバレッジを伴うことも多い。一方、オプションは、特定の価格で資産を「買う(コール)」または「売る(プット)」権利を与える契約だ。

これらのデリバティブ商品は、リスクヘッジや投機目的で、個人投資家・機関投資家の双方から広く活用されている。

コインベースは2024年におけるデリバティブ取引高が前年比で約1万950%増加したと発表している。同社は取引所で約92種類の資産に紐づくデリバティブを取り扱っており、米国内でも一部を提供している。

競合のロビンフッドも、1月に仮想通貨先物の取り扱いを開始し、コインベースへの対抗姿勢を強めている。

さらに2月には、世界最大のデリバティブ取引所であるCMEグループが、2024年第4四半期における仮想通貨デリバティブの1日平均取引高が約100億ドルに達したと発表しており、前年同期比で300%以上の成長を記録した。

なお、コインベースは2月に米商品先物取引委員会(CFTC)によって規制された初のソラナ(SOL)先物をローンチし、CMEも翌月に独自のSOL先物を立ち上げている