米仮想通貨取引所コインベースが、移民税関捜査局(ICE)捜査官に同社の顧客を追跡するための「一連の機能」を提供したことが報道された。ザ・インターセプトの報道によると、ICEは「コインベース・トレーサー(Coinbase Tracer)」と呼ばれる、さまざまなフォレンジックデータの追跡機能を提供する情報収集アプリケーションへのアクセスを許可されたという。

ICEは、国土安全保障省傘下の政府機関だ。ICEの主な目的は、国境を越えた犯罪や不法移民から国を守ることとされる。

コインベース・トレーサーは、ブロックチェーン上の悪意のある不正な取引を追跡することでICEを支援する。ザ・インターセプトによると、このツールによってICE捜査官は「アドレスを現実世界のエンティティに接続する」ことができるようになるという。

情報公開請求で公開されたメールによると、CoinbaseはICEにエンドユーザーライセンス契約(顧客がソフトウェアでできることに制限を課す標準的な法律用語)への同意を求めなかったという。これは、ICEが最小限の制限で自由にデータ追跡ツールを使用できることを意味するとされる。

コインベースの広報担当のナターシャ・ラブランシェ氏はザ・インターセプトに対し、「コインベース・トレーサーは公的な情報源から情報を入手しており、コインベースのユーザーデータを利用することはない」というウェブサイトの免責事項を主張した。ラブランシェ氏は、ICEがコインベース・トレーサーをどのように使用しているか、同社がその使用に対して何らかの制限を課しているかどうかについての質問に答えなかった。

ICEのコインベース・トレーサーへのアクセスは、2021年9月にコインベースと締結した136万ドルの契約に由来している。当時、契約の内容は曖昧で、コインベースが「アプリケーション開発ソフトウェアをサービスとして」機関に提供することが主な内容となっていた。