米大手仮想通貨(暗号資産)取引所コインベースは、政治や社会運動に関する話題を職場で禁止し、反対した社員に解雇手当を出すと明らかにしたことが仮想通貨関係者の間で物議を醸している。
同社はこのほど、従業員に政治的・社会的な混乱を避けるために、同社のコアミッションである「世界のためのオープンな金融システム」の構築に集中することを、従業員に義務付けた。そして、9月末にブログ記事では、政治や社会運動について話すことを禁じた同社の方針に反対した社員を対象に解雇手当を出すと提案した。
ツイッターのジャック・ドーシーCEOを含む複数の仮想通貨関係者は、こうしたやり方は仮想通貨業界の価値観とは相反するものであると指摘するなど、中央集権的なやり方に異議を唱える人も出ている。
コインベースのブライアン・アームストロングCEOは9日のブログ記事の中で「我々は、方向性に賛同できないと感じた従業員には手厚い退職パッケージを用意した」と述べた。
アームストロング氏の投稿によると、コインベースの従業員のうち60人が退職する予定だという。これは同社の「全従業員の5%に相当する」という。さらに他の従業員も退職を希望しているとした。
こうした文化的な変化による会社への影響については「少数派に偏った影響を与えるという懸念を何人かから聞いている」とした上で「全体の従業員の少数しか退職パッケージを利用していないことを確認できたことは心強く感じた」とし、「誰もが自分の居場所があると感じられる多様で包括的な環境を構築していきたい」と強調した。
スタッフへの説明の中で、アームストロング氏は、従業員は政治が存在しないふりをする必要はなく、仮想通貨は本質的に政治的な業界であることを指摘した。彼はまた、「イエス。私たちはこの特定の分野について政治的なことをしても大丈夫だ、なぜならそれが私たちの使命に関連しているからだ」とも述べ「会社としてのミッション以外の活動に関与しないことを決定しただけ」と今回の規則変更について述べている。
そしてどのような行為が「政治的」であるかを知る方法を説明する際に、アームストロング氏は次のように答えた。
「我々はそれ(政治的)が曖昧なラインにあることを認識しており、従業員には適切な判断をするように求めている。私たちの目標は、違反を探すことではなく、明確になった期待に適応できるように社員をサポートすることだ。」
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン