コインベースの株主が、同社の上場に先立ち、財務状況や仮想通貨取引プラットフォームとしてのレジリエンスについて投資家に誤解を与えたとして、コインベースに対して集団訴訟を起こした

この集団訴訟は、法律事務所Scott + Scottが22日にカリフォルニア州北部地方裁判所に提出したもので、コインベースの株主であるドナルド・ ラムゼイ氏を株主代表の原告としている。

ラムゼイ氏は、米国証券法に基づき、コインベースが米国証券取引委員会(SEC)に提出した書類、プレスリリース、アナリストレポート、およびその他の取引所に関する公開情報を証拠とした。

この集団訴訟では、コインベースのCEOであるブライアン・アームストロング氏、最高法務責任者であるポール・グレワル氏、その他の経営陣に加えて、ベンチャーキャピタルの支援者数名も被告として名を連ねている。

ラムゼイ氏は、コインベースと経営陣が、上場時の募集資料に「重大な誤解を招く記述」を行い、「合理的な根拠」を欠いたポジティブな発言をしたことを告発。集団訴訟では次のように主張した。

「本件募集の時点で (1)当社は多額の現金を必要としていた。(2)当社のプラットフォームはサービスレベルの混乱の影響を受けやすく、当社がより多くのユーザーにサービスを提供するようになると、混乱の可能性が高まっていた」

ラムゼイ氏はさらに、コインベースが提示したものと実際の状況との間の疑惑が公になると、それに伴って株価が下落したと主張した。5月中旬にコインベースが資金調達の必要性を認め、転換社債型新株予約権付社債の発行により12.5億ドルを調達する計画を発表したことを例に挙げ、ラムゼイ氏は同社の株価が2回の取引で10%近く急落したことを強調した。

集団訴訟では、5月中旬のメディアの報道を証拠としており、社債発行の発表に関するフォーブスの記事を引用した。

「コインベースは4月中旬に(新株発行や増資を伴わない)直接上場したばかりで、現金を必要としないことを示していたことを考えると、投資家は発行のタイミングにも驚いただろう。そのため、同社が1カ月あまり経ってから社債を発行することになったことは、いくつかの疑問がある」

集団訴訟では、5月19日にプラットフォーム上で技術的な問題が発生したことも指摘。市場の弱気な時期に「出金したい」と願うトレーダーが急増し、「ネットワークの混雑による遅延」が発生した。

既報のように、表向きにはイーサリアムネットワークの混雑によるイーサ(ETH)およびERC-20トークンの引き出しの遅延が、コインベースとバイナンスの両方のユーザーに発生。ジェミナイでは、問題を修正するために緊急メンテナンス措置を発表した。

サービスレベルの技術的問題は、最も簡単に仮想通貨を売買できる場所であるというコインベースの主張と矛盾しており、個人投資家に損失となると主張。訴状では、同社が「収益のほぼすべてを取引手数料に依存している」ことを強調した。

集団訴訟を開始した時点では、コインベース株は4月14日の初値381ドルに対し、208ドルで取引されていた。