ブロックチェーン分析企業のコインメトリックスは16日、リップル社が示す仮想通貨XRP開放スケジュールと実際のオンチェーンでの取引データに相違があると指摘した。
執筆時点でリップル社はまだ正式な回答はしていない。
リップル社は、保有しているXRPの5割ほどをエスクローに預けており、定期的にXRPを開放。四半期ごとのリポートでその詳細を公表している。コインメトリックスは、このエスクローシステムについて、次の3点を指摘した。
・リップル社による2つの四半期リポートは、エスクロー(第三者預託)から出されたXRPの数を2億XRP(約92億円)ほど低く公表した。
・「エスクロー・キュー」(開放されたXRPのうち使われなかった分が戻る所)が発表と違った形で実行されており、発表より早いペースでのエスクローからのXRPリリースにつながる。
(赤が発表通りのスケジュール、青が実際のスケジュール(見込み)。縦軸はXRPの流通量)
コインメトリックスによると、開放されたXRPでその月(n)の終わりに使われなかった分は、n+55ヵ月後までエスクローされる(すなわち、その時までエスクローキューに戻る)。
例えば、2018年1月6日(月0)にリップルは10億XRPをエスクローから開放し、1月末に9億XRP(1億XRPを使用)を55ヵ月後までエスクローした。ここまでは発表通りだが、翌2月(月1)、再び10億XRPを開放して1億XRPを使った際、残りの9億XRPすべてを56ヵ月後までエスクローするのではなく、1億XRPを55ヵ月後までのエスクローにし、8億XRPを56ヵ月までエスクローしたという。
・リップル社と関係ある組織が、リップルのメインのエスクローアカウントにつながっていないエスクローアカウント(持ち主不明)から5億5000万XRPが開放された。
コインメトリックスによると、リップル社はリポート公表までに回答しなかったという。
追記
リップル社のCTO(最高技術責任者)であるデビット・シュワルツ氏は18日、コインメトリックスのリポートに関して「タイムラインの問題」と説明していたことが明らかになった。
「2018年にタイムラインを微調整して、戻し分を最初のエスクロー開放日にリンクするのではなく四半期のそれぞれの月で起きたトランザクションを反映するようにした。例)3月のエスクロー開放で4月に戻った分は、第1ではなく、第2四半期のイベントと考えられる」
その上でシュワルツ氏は、将来のマーケットリポートでは言葉を一部足して補足し業界内で最も透明性を高める努力を続ける計画だと述べた。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版