国内の仮想通貨取引とマイニングを根絶した中国政府の次の懸念は、メタバースプロジェクトをめぐり増えている詐欺である。

中国銀行保険監督管理委員会は、一般市民に対し、詐欺的なメタバースプロジェクトのリスクを警告した。この通知では、メタバースが話題になったことで詐欺師たちが一般市民を主なターゲットとし、プロジェクトの名目で違法に資金を集めたり、人々が苦労して稼いだお金を奪ったりしていることが強調されている。

今回の公式な警告で強調されているのは、詐欺師たちが詐欺行為の前提としてメタバースを利用し、違法に利益を得ている4つの方法である。最初の最もよくある詐欺の形が、人工知能や仮想現実への対応など、ハイテクとの融合を約束するプロジェクトである。これらのプロジェクトはたいていの場合、高い利益率を約束することで投資家たちをおびき寄せる。そして詐欺師は、投資家のお金を持ち逃げする。

次によくある形のメタバース詐欺が、ブロックチェーンのプレイ・トゥ・アーン(P2E)プロジェクトである。この場合、詐欺師はネイティブゲーミングトークンに投資することで高い利益が得られることを約束し、たいていは、設定された目標に達した途端にお金を持ち逃げする。このようなプロジェクトが利用するもう一つの顕著なスキームは、メタバースの不動産を誇大に宣伝し、ユーザーの間にパニック買いを誘発させることである。

当局は、一般市民に対し、そのようなプロジェクトにより注意を払い、疑わしい活動があれば当局に報告するように要請した。

「『メタバース』の旗印を掲げる詐欺行為はより魅力的で騙されやすく、参加者が金銭的損害を受けることが多い。一般の人々はリスク防止の意識と詐欺を見分ける能力を高め、騙されないように注意することが求められる」

中国政府は国内での仮想通貨の使用やマイニングを全面的に禁止しているにもかかわらず、これまで非代替性トークンプロジェクトやメタバースに対しては緩やかな態度を示してきた。そのため、テンセント、ファーウェイ、アリババなどの大手テック企業数社は、競ってメタバースの商標を申請した。上海では5ヵ年発展計画に、公共サービスでのブロックチェーンとメタバースの利用が盛り込まれるほどだった