中国共産党中央政法委員会が発行する『法制日報』1月1日号が暗号資産を使った贈収賄行為に警笛をならしている。中国の国営メディアがこのようにピンポイントでこの話題を語るのは珍しい。

日本で言う元旦に発表された記事は河北大学法学院の趙学軍(ジャオ・シュエジュン)准教授の発言を引用し、仮想通貨は「コールドウォレット」に入れて海外に持ち運び換金することができるため、贈収賄の「隠れたルート」になっていると指摘した。

また同記事の中で、武漢大学法学院の莫紅仙(モー・ホンシエン)教授は、ビットコイン(BTC)を挙げ、仮想通貨の匿名性と追跡の困難さは、「違法行為や犯罪行為に自然な利便性を提供する」とした。中国では仮想通貨売買が認められておらず、司法部門の注視が必要だとしている。

「新しいタイプの腐敗を罰するための法的規制システムを改善し、贈収賄罪の範囲を拡大し、新しいタイプの腐敗が発生しやすい分野での監督情報を強化する必要がある」と記事は暗号資産を使った犯罪者を糾弾している。

背景にあるのは暗号資産を使ったマネロンの横行だ。昨年末、最高人民検察院と国家外為管理局の2つの国家機関が、ステーブルコインであるテザー(USDT)等を使ったマネロン行為を摘発していた。

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ちなみに暗号資産を使ったマネーロンダリングを防いだり追跡したりする取引リスク分析ツールには、チェイナリシス、エリプティック等がある。

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