中国政府が仮想通貨を使った違法地下銀行を摘発したようだ。

中国国営テレビ等の情報によると、中国当局は外為法を回避するために海外仮想通貨取引所を経由した地下銀行を摘発した。

地下銀行は顧客に対し、中国の厳しい資本規制を回避できるように海外暗号資産取引所を使ったスキーム(仕組み)を提供していた。

摘発を通し、テザー(USDT)やライトコイン(LTC)などの暗号通貨も押収したようだ。地下銀行は17の省・市にまたがる1000の銀行口座で22億ドル(約3000億円)以上を動かしていたという。

中国の国家外為管理局青島分局の徐暁(シュー・シャオ)検査官は「地下銀行は仮想通貨を購入し、海外の取引プラットフォームを通じて仮想通貨を売り、外貨を手に入れていた」と語る。

中国の法律では許可がない限り、中国人が年間5万ドル以上の外貨を両替することは禁じられている。これを回避することはマネーロンダリングとみなされる。

地下銀行摘発について語る中国当局職員 出典:中国国営テレビ局CCTV

こうした資本規制こそが、中国政府が仮想通貨に反対する真の理由だとする見方もある。中国政府は2016年にも外為規制を強化していたが、その1年後、国内の暗号通過取引所を違法として閉鎖していた。暗号資産禁止令は現在も続いている。

法の目をかいくぐる手法には海外暗号資産取引所が使われることも多い。2023年3月の調査では、バイナンスの従業員等が中国の顧客に対し取引所のKYC(顧客確認)手続きを省略するよう支援した事件が報道されている。

地下銀行を捜査する中国当局職員の様子 出典:中国国営テレビ局CCTV