香港は仮想通貨の採用を着実に進めているものの、中国本土は反仮想通貨の立場を変えていない。

中国の国営銀行の一部は、香港の仮想通貨クライアント向けに銀行口座を提供している。また中国太保投資管理は、4月に2つの仮想通貨ファンドを立ち上げた

しかしこれらの動きがあっても、中国がビットコイン(BTC)の規制に対する姿勢を変えることはないだろうと、中国太保投資管理のCEOであるチェンガン・ジョウ氏は語っている。

香港政府はWeb3や仮想通貨の推進に力を入れているが、それが中国本土の規制や中国政府の仮想通貨に対する態度に変化をもたらすことはない」とジョウ氏はコインテレグラフとのインタビューで語った。

中国太保投資管理は中国本土の大手損害保険会社である中国太平洋保険の傘下だが、中国太保投資管理は香港の法人として証券先物委員会によって規制されているとジョウ氏は強調した。

「香港の規制は、私たちが仮想通貨のようなさまざまな市場や資産クラス、製品に投資することを許可しているので、規制や法律に違反していない」とジョウCEOは述べ、次のように付け加えた。

「香港の規制が私たちに仮想通貨に関与することを許可しているため、私たちはそれに関与している。しかし、それは決して中国政府の態度や政策、または政策の変更を示すものではない」

ジョウ氏によれば、中国は2021年9月に完全に仮想通貨を禁止する以前から、反仮想通貨の立場を維持していた。彼は、中国政府が近い将来、仮想通貨政策を変更することはないと考えている。

中国の銀行が仮想通貨企業の口座開設を認める一方で、中国政府が反仮想通貨の立場を維持すると考えるのは、ジョウ氏だけではない。

中国政府が金融セクターに対して厳しく取り締まっていることを考えると、中国が仮想通貨を利用する中国国民に対する統制を緩めることは想像しにくい」とレスペランス&アソシエイツ法律事務所の創設者であるデビッド・レスペランス氏はコインテレグラフに語った。

レスペランス氏によれば、中国は外貨預金を増やしたいと考えており、それが仮想通貨の購入に使われる法定通貨であろうと、仮想通貨自体であろうと関係ない。「彼らは市場を二分化して、国内の中国顧客を排除しながら外国の顧客を引き付けている」と彼は指摘した。

またレスペランス氏は、中国本土の仮想通貨市場は「事実上閉鎖されたまま」であると指摘した。香港の取引所を利用して中国から資金を引き出す機会を得る中国の顧客について、執行上の懸念が高まっている「当然ながら、当局はこの漏洩を止めようとするだろう」とレスペランス氏は指摘する。

中国太保投資管理のジョウ氏も、香港の仮想通貨取引所が厳格な本人確認(KYC)ポリシーを導入しており、これにより、中国本土の投資家がこれらのプラットフォームで制限されるこだろうと言及した。

香港のライセンスを持つ仮想通貨取引所が、中国本土の市民に取引所での取引を許可するとは思わない」とジョウ氏は述べている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン