多国籍小売企業カルフールがIBMの食品追跡ブロックチェーン技術を利用し、農場から店頭までの食品供給ラインを追跡することになった。中東でカルフールを展開するマジドアルフッタイムとIBMが交わした契約により、小売り大手のカルフールは「IBMフードトラスト」を使用して、まずは鶏肉とマイクログリーン(若芽野菜)という2つの食品カテゴリーを追跡する。

「IBMフードトラスト」は食品業界向けに設計されたブロックチェーンプラットフォームで、IBMクラウドでホストされる。『ガルフ・ビジネス』の報道によると、19年に970億ドルの収益を記録したカルフールは、買い物客が商品のQRコードをスキャンするだけで、生産プロセス全体に関する広範な情報を入手できるようにするという。

入手できる関連情報には商品の原産地、製造日、輸送データ、原材料、衛生及びハラール認証、栄養価、温度データが含まれることになる。

『ガルフ・ビジネス』はIBMインスティテュート・フォー・ビジネスが最近実施したアンケート調査を参照しており、それによると回答者の73パーセントが、購入する商品により優れたトレーサビリティを求めていた。さらに回答者の71パーセントは、そうしたサービスには追加料金を支払ってもかまわないと答えた。

マジドアルフッタイムリテールのハニ・ワイスCEOは、グローバルな食品サプライチェーンの信頼性は重要な問題になっており、COVID-19の流行によって拍車がかかったとして、次のように述べた。

「食品のサプライチェーンの信頼性は世界的に重要度を増しており、お客様の要求の変化と、COVID-19パンデミックによって衛生と健康にまつわる懸念が生じたことでこの傾向が加速した」

ワイス氏は、ブロックチェーン技術を使用することで運用効率が向上し、買い物客の信頼感と忠誠心が高まると述べた。

「したがってバリューチェーン全体で品質の確保に投資すると同時に、お客様の確かな信頼と忠誠心を構築するよう取り組んでいくことが必要不可欠だ。新たな市場の期待に応えるにあたり、当社はカルフールの大切なお客様に今、より良い食品トレーサビリティを提供し、当社の事業の運用効率を高めていく」

カルフールは19年11月に初めてIBMの「フードトラスト」を利用し、乳児用粉ミルクのサプライチェーンの追跡にブロックチェーン技術を使用した