デジタルコマース協会は30日、仮想通貨市場の「責任ある成長」のため、ユーティリティトークン発行のガイドラインの提言などをまとめたレポートを発表した

 デジタルコマース協会は、14年にぺリアン・ボーリング氏によって設立されたブロックチェーンと仮想通貨のアドボカシーグループだ。今回のリポートをとりまとめたのはトークンアライアンスと呼ぶ、協会が立ち上げたイニシアティブだ。

 今回発表したレポートは、「デジタルトークンを理解する:マーケット概観、および政策決定者と実践家のためのガイドライン」というタイトルだ。このレポートは3つのセクションに分かれており、1)米国やカナダなど5か国でのデジタルトークンに対する規制概要、2)証券と分類されないようなユーティリティトークンを発行する際の原則とガイドラインについて、3)経済データと統計を用いてグローバルなトークンエコノミーの状況を説明する。

 ポトマック・グローバル・パートナーズのCEOで、米証券取引委員会(SEC)の委員を務めたこともあるポール・アトキンス氏は、今回のリポートのとりまとめに参加した。同氏は、プレスリリースの中で「この新しい技術フロンティアでのイノベーションにおいて、投資家保護との正しいバランスを取る」スマートな規制を行うためにガイドラインは重要だと語る。

「私たちは、厳密には投資ベースではない、ブロックチェーンをベースとしたデジタル資産のユニークな特徴を説明し、消費者や規制当局、業界にガイドラインを提供することが重要だと考えている」

 トークンアライアンスは、世界中から350人以上で構成されるイニシアティブだ。ブロックチェーンやトークンの専門家、エコノミスト、法律事務所の実務家などが参加している。今回のガイドラインは、規制状況に合わせて、随時見直していくことになるという。またガイドラインへの情報の追加・更新などを行うため、GitHubにレポートへのフィードバックをコメントするように求めている。

 レポートは、今回の取り組みがトークンエコノミーにおける創造的思考と理解への第一歩だとしており、今後は「ハイブリッド・トークン」に関する本人確認(KYC)・マネーロンダリン対策(AML)についてのガイドラインについても取り扱っていくとしている。

 仮想通貨業界では、この新しいテクノロジーに関して独自のガイドラインを策定する動きが起こっている。日本では4月にメガバンクや大手証券会社などが参加した研究グループが、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)のガイドラインについて提言を行った。またリトアニアでは規制当局や業界関係者が集まり、ICOに関するガイドラインを6月に発表している