米商品先物取引委員会(CFTC)のキャロライン・ファム委員長代行は、仮想通貨の引渡しに関する「時代遅れのガイダンス」を撤廃した。これにより取引所がより柔軟に運営できるようになるとして、業界から歓迎の声が上がっている。
ファム氏は木曜、「仮想通貨業界を不当に罰し、イノベーションを妨げてきた時代遅れで過度に複雑なガイダンスを排除することは、まさに政権が掲げた目標そのものだ」と述べた。
このガイダンスは元々2020年3月に最終決定されたもので、コモディティ取引において仮想通貨の「実際の引渡し」がいつ発生したかに関するものだった。しかしCFTCは、過去5年間の進展を踏まえ「再評価する必要があった」と通知で説明した。
ファム氏の下でCFTCは仮想通貨に対するより友好的なアプローチを取っており、同氏によれば、今回の撤廃は大統領の仮想通貨ワーキンググループの提言に基づくものだ。ワーキンググループは、仮想通貨をどのようにコモディティとして扱うかに関する新たなガイダンス、および仮想通貨の実際の引渡しに関する既存ガイダンスの拡張をCFTCに求めていた。
引渡しルール撤廃で信用取引が容易に
スタークウェアの法律顧問、キャサリン・カークパトリック・ボス氏は今回の措置を歓迎し、従来のガイダンスが「28日以内の実際の引渡し」が行われない限り、取引所が証拠金取引やレバレッジを提供しづらくしていたと指摘した。
「今回の撤廃で取引所の柔軟性は大幅に高まる」と同氏は述べた。「ただし注意してほしいのは、これは法律ではなく単なるガイダンスであり、CFTCの指導部が変われば再び変更され得るという点だ」。
CFTCはガイダンスを通じて法律の解釈や、どのように規則を執行する可能性があるかを示すことができるが、正式な規制と異なり、一般的に法的拘束力は持たない。
ベルリン拠点のビットコイン財務企業アイフィニョ AGでビットコイン戦略を率いるガリー・クルグリャコフ氏は木曜、今回の撤廃は「これから起こることの大きな前兆だ」とXで述べた。
「今回の動きは2つのことを示している。CFTCの管轄権の明確化、そして躊躇なく、規模拡大を見据えた規制アプローチの導入だ」と同氏は語った。
「2020年当時は実際の引渡しという概念に意味があった。しかし、現実のカストディ、担保、ビットコイン担保融資が存在する現在の世界では、もはや適切ではない」。
ガイダンス撤廃でかえって不透明さも拡大
一方、米シンクタンクのルーズベルト研究所のトッド・フィリップス氏は、「実際の引渡し」の定義は極めて重要だと指摘する。なぜなら、この定義が「どの取引所がCFTCに登録する必要があるか、どの取引所が必要ないか」を決めるためだ。
「CFTCは以前のガイダンスを撤廃したが、新たなガイダンスは何も示していない」と同氏は述べた。「現在、CFTCが実際の引渡しをどう解釈しているのか、誰が登録対象となるのか、まったく分からない状態だ」。
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