米商品先物取引委員会(CFTC)の現職コミッショナーの1人であるサマー・マーシンガー氏が、暗号資産業界の業界団体「ブロックチェーン協会(Blockchain Association)」の次期CEOに就任する。
5月14日に発表された同協会の声明によると、現CEOのクリスティン・スミス氏は5月16日をもって退任し、6月2日にマーシンガー氏が正式にCEOに就任するまでの間は暫定リーダーが指揮を執る。CFTCでの任期は本来2028年4月までの予定だったが、マーシンガー氏は5月30日をもって同委員会を離れる見通しだという。
2022年からCFTCの共和党枠の1人として務めてきたマーシンガー氏の退任により、ドナルド・トランプ米大統領は新たな委員を指名する機会を得ることになる。CFTCでは、同一政党の委員は3人までという規定がある。
CFTCは米証券取引委員会(SEC)と並ぶ主要な金融規制当局であり、その政策は暗号資産にも大きな影響を与える。現在、米議会ではデジタル資産市場の規制構造を明確化する法案の審議が進められている。
ブロックチェーン協会では、スミス氏が4月1日にソラナ・ポリシー・インスティテュートの次期代表に就任するため退任を発表しており、新体制は想定されていた。
協会の会長であるマルタ・ベルチャー氏は5月14日、コインテレグラフの取材に対し「サーチファーム(人材紹介会社)は使わなかった。適任者が業界内にいると分かっていたからだ」と語り、「クリプト業界出身であることが非常に重要だった」と付け加えた。
同協会には、コインベース、リップルラボ、チェーンリンクラボなど米国の主要暗号資産企業が加盟しており、協会ウェブサイトでは「将来志向でイノベーションを促進する国家政策と規制枠組みの実現を支援する」としている。
米金融規制当局のリーダー交代
ジョー・バイデン前大統領の指名によりCFTC入りしたマーシンガー氏は、暗号資産に関する政策の標準化を訴え、「仮想通貨の現物市場にとって理想的な規制当局はCFTCだ」と主張してきた。11月の大統領選を経て、CFTCのロスティン・ベナム前委員長が退任すれば、マーシンガー氏が後任を務めるとの見方もあったが、2025年1月にはキャロライン・ファム委員が暫定的にその役割を引き継いでいる。
トランプ大統領は今年2月、CFTC委員経験者のブライアン・クインテンズ氏を新委員長に指名したが、上院での承認投票は約3カ月間進展していない。さらに、委員の1人であるクリスティ・ゴールドスミス・ロメロ氏は、クインテンズ氏が承認され次第辞任する意向を示しており、トランプ氏がCFTCの5人の委員のうち最大3人を再任命できる可能性がある。
なお、CFTCの新委員はすべて、大統領の指名の後に上院での過半数承認が必要となる。任期は5年だが、途中退任による補充の場合は残り任期を務める。