タイの中央銀行であるタイ銀行は、商業銀行が暗号資産の取引に直接関与することを望んでいないようだ。

バンコクポストによれば、12月7日にタイ銀行のシニアディレクターであるチャヤワディー・チャイアナント氏が、暗号資産の高いボラティリティを巡るリスクを指摘した。

「銀行は顧客の預金と公の責任を負っており、そしてリスクがあるため、デジタル資産取引に直接関与することを私たちは望んでいない」

中央銀行によるコメントは、現地の商業銀行が仮想通貨取引所に投資している中で発生した。

11月はじめ、サイアム商業銀行が、タイ最大の仮想通貨取引所であるBitkubの株式51%を取得すると発表した。8月には仮想通貨取引所Zipmexは、国内第5位のアユタヤ銀行から13億ドルの資金を調達した。

タイ銀行は、個人や企業、銀行の間でデジタル資産の人気が高まっているにも関わらず、デジタル資産に対してますます厳しい姿勢を取るようになっている。

先週、タイ銀行のシニアディレクターであるサッカポップ・パニャヌクル氏は「ほかの通貨が幅広く使われてしまう場合、中央銀行が経済を監督する能力に影響を与えてしまうだろう」と述べ、企業が仮想通貨を受け入れることについて警戒感を示していた。同氏は、資産に裏打ちされていないトークンを「空っぽのコイン」だと付け加えている。

タイ銀行はまた、商品やサービスの決済に仮想通貨を使用することにも懸念を示している。チャイアナント氏は、デジタル資産は「価格のボラティリティが高く、サイバー盗難、個人データ漏洩、資金洗浄のリスクがある」ため、企業や消費者に悪影響を与える恐れがあるとコメントしている

「デジタル資産が商品やサービスの決済手段として幅広く使われるようになると、決済システムの安定性や金融安定性、消費者保護に影響を与える恐れがある」