英米サウジの研究チームは、解読が不可能な暗号化を実現するシリコンチップを開発したと主張している。科学雑誌ネイチャーが12月20日に記事を掲載した。従来のシリコンベースの半導体にカオス理論の波束を使用したという。
このチップは、英国のセント・アンドルーズ大学、サウジアラビアのキング・アブドゥッラー科学技術大学、米カリフォルニアのセンター・フォー・アンコンベンショナル・プロセシス・オブ・サイエンスの研究者らが開発した。
今回研究者らが開発したのは、ワンタイムパッド(OTP)の概念に基づくもの。OTPは、やぶられないことで有名だが、以前に送信したデータと同サイズかそれより長い1回限り使用する鍵を共有することを要求される。鍵の交換は実用的でなく安全でないため、OTPはあまり使用されていない。
今回開発したチップは、実用的なOTP実装を試みているという。
「既存の光通信インフラに匹敵し、その鍵配布において無条件のセキュリティを提供するOTPの物理的実現を開発した」
量子コンピューターをめぐっては、仮想通貨への脅威と見る意見も多い。
今回の論文でも、仮想通貨に使用されるような従来の暗号化技術は、量子コンピュータの発展により解読される可能性があると指摘している。
今回の解読不可能なチップの登場が、ビットコインなどの仮想通貨に恩恵をもたらすかもしれない。
先月、プライバシーやIoTに注力するブロックチェーンプラットフォーム「IoTeX」の暗号学専門家であるシンシン・ファン氏は、インターナショナルビジネスタイムズ誌に「量子コンピューターはブロックチェーンを殺さない」と題した記事を寄稿し、「量子超越を達成したことはブロックチェーンを超えたことを意味しない」とし、量子コンピューターの短期的な影響はわずかであると述べていた。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン