ビットコインマイニング企業のビットフューリーがAI(人工知能)部門を立ち上げた。ロイター通信が報じた。大量に取得したデータ分析の効率化が狙いだという。
ビットフューリーのヴァレリー・ヴァヴィロフCEOは、これまで大量のデータを集めてきたものの「たった2%しか分析できておらず、98%は待ちの状態だ」と話した。既存事業との兼ね合いや今後の計画について詳細を述べなかったものの、年末か来年の始めには新たな商品の提供を目指しているという。
今年4月、ビットフューリーは「今がビットコインマイニング投資のチャンス」とし、機関投資家向けのビットコインのマイニングファンドを設立することを発表した。
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ロイターによると、ビットフューリーの企業価値は最近10億ドル(約1000億円)を突破。主な投資会社にはコインベースやビットメインが含まれている。
ビットコインのファンジビリティに懸念も?
紙幣・硬貨を含む現金は、ファンジブル(代替可能)と言われる。例えば1万円札を犯罪者が使おうが聖人が使おうが、その1万円札はいつでもどこでも1万円札として利用が可能で、1万円の価値を維持している。言い換えれば、現金を見ているだけでは「汚いカネ」と「クリーンなカネ」の特定が不可能だ。
ここで問題なのはビットコインがファンジブルかどうかだ。
ストックホルム拠点のエンジニアで仮想通貨トレーダーであるエリック・ウォール氏は、ビットフューリーのAI部門はビットコインのファンジビリティーにとって危険な存在になると危惧している。
「AI /ML(機械学習)はユーザーの特定のために訓練される。プライバシー向上技術(PETs)が使われたコインにフラグづけをしていくだろう。そうなる前に、PETsを使ったウォレットがスタンダードにならなければならない。もしビットコインのファンジビリティーを気にしているならね」
ビットフューリーのAIがある特定のアドレスの取引履歴が「疑わしい」と判断すれば、そのアドレスから送られる1BTCと他の1BTCが同じ価値を持たなくなる。つまり、ビットコインがヒンズではなくなるかもしれない。そうした事態を避けるために、PETsを使ったウォレットが今すぐ普及しなければならないとウォール氏は主張している。
ビットコインのファンジビリティの問題は、すでに投資家にも影響を与え始めている。
既報の通り、全く取引記録のない「ヴァージン・ビットコイン」に5%のプレミアムを払うケースもあるという。