本年はSteam初となるブロックチェーン使用のVRゲームが発表された。このゲームの開発者たちがひそかに狙っているのが、SteamアワードのVRゲーム大賞だ。
『Age of ILCOIN』は近未来のSF世界が舞台。プレイヤーには、宇宙海賊たちから仮想通貨を守るミッションが与えられる。
Oculus Rift VRヘッドセットを使った本作は、イマーシブ型(ゲーム内キャラクターの視点)の360度体験が味わえる。さらに、ゲーム内課金にブロックチェーン技術を使用しているのが特徴だ。
本作を開発したのは、ILCOIN,資本のSYDYG。近々Oculusアプリストアをはじめとする複数のプラットフォームへの移植が予定されている。
SYDYG社CEO、Ramiro FaroVélez氏は、同社は現在複数のVRゲームを開発中であり、VR市場には大きなチャンスがある、と語る。
「ゲーム業界はすでに数十億ドルの市場規模に達した。ゲームファンはゲーム内の新しい体験のためには課金を惜しまない。課金システムにブロックチェーン技術と仮想通貨を利用すれば、すばらしい結果が得られるだろう」
PwC(PricewaterhouseCoopers)の試算によると、VRゲームの売上は2020年には11億ドル、2024年には24億ドルに達するという。
世界のゲーム市場に目を向けてみよう。Newzooの調査によると、2020年のゲーム業界全体の売上高は1,593億ドルで、前年比9.3%増。2023年までに2,000億ドルの大台を突破する見込みだ。
ILCOINブロックチェーンプロジェクトの共同創設者であるNorbert Goffa氏は、「ブロックチェーンのエコシステムは、今後、より多様なユーザーを取り込むことで、爆発的に成長するだろう。ブロックチェーン技術全般とゲーム内のブロックチェーンの双方において、新たな可能性が開花するはずだ」と語る。
ブロックチェーンの普及
『Age of ILCOIN』には、ブロックチェーンという革新的な技術を、今までこの技術になじみの薄かったゲームファンに紹介する役割が期待されている。
本作にはOculus Riftヘッドセットが採用されていることも見逃せない。2019年11月、ILCOINブロックチェーンプロジェクトは、RIFTプロトコルの使用により、ライブネットワーク上に5GBのブロックを生成することに成功した。この技術は、大量のデータを効果的に処理できる2層ソリューションの最初の成功例として記憶にとどめられている。
『Age of ILCOIN』の開発には18ヶ月の開発期間を要し、Unreal Engineが使用されている。
開発者たちは、仮想通貨とゲームの間の相乗効果が高まっていると指摘するが、それはこの2つの世界に共通点が著しいからに他ならない。実際、いくつかのゲームプロジェクトにおいて、主要仮想通貨をはじめとする非代替性トークンが採用されている。
Ramiro FaroVélez氏は、「『Age of ILCOIN』にはたくさんの作品があるが、私たちにとって、もはやゲーム以上の存在だ。ゲーム業界を革新し、ゲームファンに革命的な体験を提供した人々には、すばらしい収益機会が与えられる」と語った。
Steamの躍進
Steamは、パソコンでゲームをしたいユーザーのために、ゲームを配信するためのプラットフォームだ。ダウンロード用タイトルを提供するだけでなく、ユーザーが他のプレイヤーにゲーム実況のライブストリームを配信したり、視聴したりすることもできる。
他のゲームとは異なり、『Age of ILCOIN』は無料でプレイが可能。本作の制作に関わった Focka Gamesは、『DMD Mars Mission』をはじめとするさまざまなVRゲームをリリースした、実績あるメーカーである。
実は、『Age of ILCOIN』の開発者たちは、近く開催されるSteamアワードでVRゲーム大賞を獲得できるのではないかと期待している。昨年の受賞作は 『Beat Saber』。音楽の激しいビートに合わせ、アドレナリンを分泌させるリズムゲーム だ。
ILCOINは、近年のブロックチェーン業界における最大の懸念事項、スケーラビリティの問題にも果敢に取組んでいる。RIFTによりブロックをリアルタイムに同期し、ピーク時のシステムのボトルネックを回避することで、全体的なトランザクション速度を向上させる目論見だ。ILCOINによると、5GBのブロックは秒速数十万のトランザクション速度を意味し、業界のメインストリームへの採用が期待されている。
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