ビットフライヤーブロックチェーン(bitFlyer Blockchain)は6月10日、ブロックチェーンを使って株主総会で投票できるサービス「bVote」を発表した。同社CEOの加納裕三氏は、ブロックチェーンなしでは「より公正な株主総会の開催は困難であると考えている」と、コインテレグラフジャパンに語った。
不正防止に不可欠なブロックチェーン技術
加納氏は、株主総会決議では、①正規の権利者が議決権を行使していること、②投票及び集計結果に不正がないこと、この2つを満たす必要があると指摘する。
「①正規の権利者が議決権を行使していること」のケースでは、「委任状が改ざんされていないか」「委任状は改ざんされていないが、知らない第三者が署名していないか」を検証する必要が出てくる。
加納氏は「ブロックチェーンは当事者の間では内容が見られますし、変更履歴も改ざん不可能な形で保存されます」と述べ、改ざんされたという主張は成立しないと説明する。
また「第三者が署名していないか」という点についても、ブロックチェーンでは回避できるとしている。
「ブロックチェーンであれば過去の委任状行使の状況が書き込まれています。毎回同じ電子署名を使っているのに、今回だけ第三者が署名したとなりそれは成り立ちません」
ブロックチェーンであれば監査も容易に
②の投票および集計結果に不正がないことを検証する際には、ブロックチェーン技術は有用だ。加納氏は、次のように説明している。
「集計結果の透明性についても、ブロックチェーンに投票結果を記録することで事後に不正の疑義があった場合に監査をすることが容易になります」
逆に、ブロックチェーン技術を使わないと、第三者から不正が指摘され株主総会の無効請求が提出された場合、「証明することが非常に困難です」と、加納氏は付け加えている。
「ブロックチェーン投票サービスのbVoteはマイナンバーと連携してさらに本人確認を厳格化していますが、厳格な本人確認がない状態でもより公正な株主総会を開催するためには、データが改竄不可能なブロックチェーン技術は必須だと考えています」
ポストコロナ社会での需要に期待も
ビットフライヤーブロックチェーンの「bVote」サービスは、ポストコロナでのリモート化やデジタル化での需要にも期待できそうだ。
加納氏によれば、bVoteの開発は水面下で進めており、具体的な問い合わせはまだ来ていない状況。だが加納氏は、「コロナの影響で人々のライフスタイルや考え方が大きく変わり、リモート化やデジタル化が一気に進む」と考えている。
「株主総会における投票のみではなく、様々な会議体での投票や電子署名、自治体などでの各種選挙などブロックチェーンIDを基盤とした投票の需要は急拡大するだろう」