ブロックチェーンはセキュリティ及びサプライチェーンと同じ次元で語られることが多い。今週、米国防総省が主催したコンペの優勝者は、この両方の側面に新たな光を当てた。

国防総省は、現代の戦争のより一層技術化する戦線と足並みを揃えるべく、米国空軍と海軍が使用する兵器及びインフラストラクチャーの製造過程とサプライチェーンに新たな技術を取り入れる方法を引き続き模索している。

今年10月20~23日にかけてバーチャルで開催された「先進製造オリンピック」(Advanced Manufacturing Olympics)は、新たな技術、とくに3Dプリントを駆使して軍のサプライチェーンに必要不可欠な部品を製造し、配送するために、従来からの国防関連企業や技術開発者、そして研究者を採用することを目的としていた。

ノートルダム大学とITAMCOによって開発されたスマートコントラクト・アズ・ア・サービスのプラットフォームであるシンバ・チェーン(SIMBA Chain)が、国防総省のオリンピック期間中に設けられた技術課題の1つに応募して1位となり、賞金10万ドルを獲得した。

国防総省はこの課題のために、架空の島が包囲されているという戦争ゲームのシナリオを作った。参加者は付加製造(金属、プラスチック、そして複合部品のオンデマンドの3Dプリント)を活用して、前方展開部隊と前線の医療要員のための安全なコミュニケーションと配送ネットワークを作り上げることが要求された。シンバ・チェーンのジョエル・ネイディグCEOは次のように説明した。

「 [...]重要部品を前線へ届け、野戦病院の機能を維持し、滑走路のようなインフラストラクチャーを守るための、戦争ゲーム全体のソリューションを6日間で組み立てた。私達のアプローチが他と異なっていたのは、戦闘員が抱える物理的課題と、現代の戦争でますます大きな役割を演じているサイバー攻撃の脅威の両方に、どのように対処するかという点だった」

3位になったボーイングと2位になったストラタシスにシンバが勝つことができたのは、ブロックチェーンを使用して安全なネットワークを提供し、サプライチェーン上の付加製造所間にサイバー・レジリエンスを備えたコミュニケーションを確立したことによる。

当然のことだが、国防総省のオリンピックは架空の島を作り上げたらそこで終了する無意味なゲーム課題ではない。空軍は優れたソリューションを製品化する意向であり、シンバ・チェーンは空軍と海軍を含む国防総省の各機関とすでに協働している。シンバ社は「ブロックチェーン、とりわけシンバ・チェーンが、近い将来、米軍の戦略的兵器の欠かせない一部になることに大きな期待を寄せている」という。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン