イーサリアムネットワークがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)コンセンサスへの移行に向けて準備を進めている一方で、一部のマイニングデバイスはイーサリアムのマイニングのサポートを停止する可能性が出ている。
アルトコインのマイニングプールである2マイナーズ(2Miners)が2月24日に公開したレポートによれば、ビットメインのイーサ(ETH)マイニングに使われているマイニング装置である”Antminer E3”が、イーサリアムマイニングを2020年4月に停止するという。
ハッシュレートが6分の1に低下
2マイナーズは、イーサリアムからハードフォークしたイーサリアムクラシック(ETC)のAntminer E3のパフォーマンスに関して、ビットメインに問い合わせを行った後、今回のニュースについてわかったとしている。
2マイナーズは2月21日にETCプールでのAntminer E3によるマイニングのパフォーマンスが大幅に低下した。2マイナーズによると、一部のユーザーはAntminer E3のハッシュレートが6分の1に低下したという。
ビットメイン「DAGファイルが原因」
調査の結果、2マイナーズは、すべてのETCプールでハッシュレートの低下が報告されていたのを発見したという。一方、Antminer E3はまだイーサリアムのプールで正常していると、2マイナーズは述べている。2マイナーズは、問題が有向非巡回グラフ(DAG)に関連している可能性が高いとしている。DAGはASIC耐性のために作成されるファイルで、30,000ブロックごとに生成される。
イーサリアムをマイニングする場合、GPUはマイニングプロセスの開始時にDAGのファイルを必要とする。DAGファイルが30,000ブロックごとに作成されることで、メモリ容量が限界に達したという。
2マイナーズはビットメインのヘルプデスクに問い合わせた結果、DAGファイルの増加がETCのマイニングでのAntminer E3の使用を制限していることを確認したという。ビットメインによると、ASICマイナーであるAntminer E3には、マイニング用の4GBのビデオカードが含まれているが、DAGファイルは閾値に近づいているちおう。
ビットメインは次のように説明したという。
「Antminer E3は4GBのビデオカードだ。E3はETHアルゴリズムと関連しており、DDRの容量は上限にまで達しており、そのためE3はマイニングを続行できない。つまり、E3は2020年1月までしかマイニングできず、それ以降はマイニングできないということだ」
出典: Investoon.com ETH、ETCの現在のDAGサイズ
2マイナーズの計算によると、E3は2020年4月8日にはイーサリアムのマイニングを終えてしまうはずだ。DAGファイルのサイズの計算データによれば、イーサリアムのDAGサイズは3.48GBであり、イーサリアムクラシックのDAGサイズは3.56GBになる。
2018年4月に中国のマイニング大手ビットメインがリリースしたAntminer E3は「世界で最も強力で効率的なEtHash ASICマイナー」と宣伝されていた。EtHashはイーサリアムやETCなどの様々なアルトコインで使われているプルーフ・オブ・ワーク(PoW)のアルゴリズムだ。E3のリリースを受け、イーサリアムコミュニティの中ではETH用ASICを無効にするETHプロトコルのハードフォークについて議論されたこともある。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン
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