暗号資産(仮想通貨)取引所のBitget(ビットゲット)は20日、VOXELとテザー(USDT)の永久先物契約をめぐり、不審な取引活動が同日協定世界時(UTC)午前8時から8時30分の間に発生したとして、一部の口座を凍結したと発表した。
市場操作の疑いがある取引について、24時間以内に該当アカウントをロールバック(巻き戻し)し、得られた利益を回収する方針という。
ビットゲットのグレイシー・チェン最高経営責任者(CEO)はコインテレグラフに対し、「取引は個々の市場参加者によるもので、当社の関与はない」と説明。被害はプラットフォーム全体に広がっておらず、利用者の資産も安全に保たれていると強調した。
ビットゲットは、今回の取引によって損失を被ったユーザーへの補償も予定しており、近く詳細な補償案を公表する見通し。チェンCEOは「残る損失があれば、当社の3億ドル規模の保護基金で十分に補償可能だ。ユーザー資産の安全を確保する」と述べた。
今回の事案をめぐっては、異常取引やシステム的な不具合が生じた際の取引所の責任範囲を問う声も出ており、一部の市場関係者は、2025年3月に発生したHyperliquid(ハイパーリキッド)取引所での「JELLY」トークンをめぐる問題と比較している。
ハイパーリキッドの惨事が再来か?
JELLYは3月26日、ハイパーリキッド上で価格が400%超上昇し、ショートポジションの強制決済が相次いだ。あるトレーダーがJELLYの価格を意図的に変動させ、ロングとショートの両建てで利益を得ようとした結果、流動性提供機構「HLP」を通じて巨額の取引が発生した。
この混乱を受けて、ハイパーリキッドはJELLYの永久契約を上場廃止とし、仮想通貨コミュニティから批判が殺到した。
当時、ビットゲットのチェンCEOは「JELLY市場の閉鎖と有利な価格での強制決済は極めて危険な前例を作る。取引所にとって最も重要なのは資本ではなく信頼だ」とX(旧ツイッター)で非難していた。