ビットフライヤーホールディングスは25日、代表取締役の異動を発表した。新しい代表取締役には、MJS Finance & Technology取締役の平子惠生氏が就任した。創業者の加納裕三氏は取締役として留任する。平子氏はビットフライヤーHDの子会社で、仮想通貨交換業のビットフライヤーの代表取締役にも就任した。

ビットフライヤーは昨年10月、業務執行と監督機能を分離するため、持株会社ビットフライヤーHDを設立。ビットフライヤーHDの代表取締役には加納氏が就任、ビットフライヤーの代表取締役には、セディナ常務執行役員だった鈴木信義氏が就任していた。

プレスリリースでは、今回の人事について「コーポレートガバナンスの構築をさらに徹底した上で、経営体制を一層強化することを目的としたもの」と説明している。

平子氏は、三和銀行(現三菱UFJ銀行)を皮切りに、イオン銀行取締役やお金のデザイン代表取締役副社長、MJS Finance & Technology代表取締役などを経て、今年1月からはMJS Finance & Technologyの取締役を務めている。

MJS Finance & Technologyはミロク情報サービスの子会社で決済事業やフィンテック事業を手掛けている企業だ。発表によれば、平子氏はビットフライヤーHDの代表取締役に就任後もMJS Finance & Technologyの取締役を兼任する。

またビットフライヤーの取締役には滝本訓夫氏が就任する人事も発表した。

滝本氏は財務データ分析などを手掛けるBREEZEの代表取締役を務めており、ビットフライヤーの取締役とBREEZEの役職とを兼任する。滝本氏は、過去にはミロク情報サービスのCFOやCTOを務めていた。

金融庁の行政処分への対応を徹底か

ビットフライヤーは昨年6月、金融庁から業務改善命令を受けた。金融庁は、ビットフライヤーの取締役の構成が創業者の知人で占められており、「監査等委員会及び取締役会が牽制機能を発揮していない」と指摘。登録審査において当局へ事実と異なる説明をしていたことも発覚し、経営管理態勢の抜本的な見直しを求めた。

顧客の本人確認(KYC)についても、金融庁の検査で住所が私書箱だったケースも見つかった。ビットフライヤーは金融庁の処分を受け、新規口座開設を一時停止。現時点でも口座開設は凍結したままだ。

昨年10月のホールディングス化と新体制発足も経営体制強化の一環だったが、今回の代表取締役交代で、金融庁から指摘されたガバナンスの問題への対応を徹底させるものとみられる。

【追記】MJS Finance & Technologyの略称を記事内で「MJS」としていましたが、MJS(ミロク情報サービス)との混同を避けるため、MJS Finance & Technologyに修正しました(2019年1月28日 16:00)。